「実践するドラッカー〔事業編〕」――42年ぶりに顧客が増えた:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)
ドラッカー教授の言葉を実践する。実践を重ね、自分のマネジメントの道具箱を手に入れる。
マネジメントの体系を理解していますか?
話の方向を少し変えます。「マネジメントの体系図を書いてみてください」といわれたら、皆さんならどうしますか。筆者は、研修などでときどきこの問いを発し、実際に書いてもらいます。なかなかの難問です。
ドラッカー教授が「マネジメントとは体系である」と言いました。さらに、マネジメントスキルに優れていなくともマネジメントの体系を理解していれば一流の経営者になれると付け加えました。つまりエグゼクティブは、マネジメントの体系を理解する必要がるのです。ただし本来、体系とは個人の価値観に依存するものでこれが正解というものはありません。
マネジメントの道具箱を手に入れる
マネジメントの体系といえば堅苦しいのですが、道具箱と考えてください。自分なりにマネジメントの道具を用意し、道具箱に格納していくイメージです。道具箱の整理の仕方は、百人いれば百通りです。使いやすいようにオリジナルの道具箱に仕上げていきます。
さらにそれぞれの道具には、目的と使い方があります。各自で使いやすいようにチューンアップしていきます。「実践するドラッカー」シリーズは、道具の原理や目的、使い方のコツを案内しています。
マネジメントの体系
ドラッカー教授の著書は、40冊近くに及びますが、すべてが体系として明示されているわけではありません。「実践するドラッカー」シリーズは、思考編、行動編、チーム編に続き、今年3月に事業編を発刊しました。このシリーズは、筆者が考えるいわば「ドラッカーのマネジメント体系」です。
4冊の各編は、いわば大道具です。道具箱の大きな仕切りと考えてください。それぞれには、章立てがあり、これが中道具に当たります。「非顧客に聞け」は、〔事業編〕という大道具の第3章「マーケティングを問い直す」という中道具の中にある小道具です。
一つひとつのコンセプト(言葉)は、それだけでも企業の業績を劇的に変える強さを持っています。実践によってそれら小道具の使い方を身に付け、一つひとつ使える小道具を増やし、自分独自の道具箱を整備していくことが大切です。それがマネジメント能力を身につけるという真の意味なのです。
著者プロフィール:佐藤 等
公認会計士/佐藤等公認会計士事務所 所長
1961年函館市生まれ。ドラッカー学会理事。小樽商科大学大学院商学研究科修士課程修了。佐藤等公認会計士事務所所長。株式会社ヒューマン・キャピタル・マネジメント取締役副社長。
ナレッジプラザのアドバイザーで佐藤等公認会計士事務所所長。会計士として20年経営をする傍ら、ピーター・F・ドラッカーを研究し「実践するドラッカー」シリーズの編著を手がけたドラッカー研究の第一人者。ドラッカー学会理事も務める。自らドラッカーのマネジメント手法を実践できるノウハウとして体系化し、判りやすく指導し多数の経営者を開眼させている。創業期のベンチャーから、公開企業に至るまで様々なステージの企業と、財務の視点に関わらず広い視点から「共に考え行動(※)」している。(※事務所の経営理念で謳われている言葉)
著作:
「実践するドラッカー[思考編]」(ダイヤモンド社)
「実践するドラッカー[行動編]」(ダイヤモンド社)
「実践するドラッカー[チーム編]」(ダイヤモンド社)
「実践するドラッカー[事業編]」(ダイヤモンド社)
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