上司の機能を使い倒せる社員こそが、会社を成長させる:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)
部下と上司は敵対関係ではなく協力関係にあり、活用したりされたりしながらともに成長する。上手に活用したい上司の8機能とは。
ここで、簡単に8機能を紹介しておきましょう。
機能1:プロフェッショナル・マスター機能(Professional master)
ノウハウやスキル、知識や知恵を伝授してくれる師匠
機能2:サーチエンジン機能(Search engine)
不明点や疑問点などを尋ねれば、さっと答えが出てくる便利な知恵袋
機能3:ヒューマンアセスメント機能(Human assessment)
部下の仕事の成果や能力を把握し、部下の能力開発を支援する評価者
機能4:キャリアカウンセリング機能(Carrier counseling)
将来の進路(キャリアデザイン)や個人的な悩みの相談相手
機能5:トラブルシューティング機能(Trouble shooting)
トラブルを手際よく処理し、クレーム相手に謝罪してくれる最後の砦
機能6:アプルーバル機能(Approval)
決裁書に印鑑を押してゴーサインを出してくれる最終承認の後ろ盾
機能7:ネットワーカー機能(Networker)
社内外を問わず、業務に必要な人脈を紹介してくれるハブ的存在
機能8:ピンチヒッター機能(Pinch hitter)
いざというときや困ったときなどに、仕事を手助けしてくれる協力者
いかがですか? あなたの会社の管理職の人たちは、部下から上記の機能を使い倒されていますでしょうか?
もし、あなたの会社の管理職が8機能の役割を果たさずに、【部下に責任押しつけ機能】や【自分の役職の保身機能】、【部下を放置プレイ機能】に【上位方針そのまま伝言機能】など、不必要な機能ばかり使っていたとしたら、あなたの会社は赤信号です。
デキる管理職にとってみると、部下から使い倒されるのは、ある意味で本望なのです。部下に振り回されるくらいに使い倒されて、その結果として部下が大きく成長してくれるのなら、部下を育てるのが役割の管理職にとって、ほかにどんな喜びがあるというのでしょうか。「上司は部下に使い倒されてナンボ」の世界です。
上司を使い倒して成長した社員は、管理職に昇進すると、今度は必ず部下に「自分の機能をフルに活用してくれ」と言い、自ら望んで部下に使い倒されるようになります。このプラスの循環こそが、一体感を持って会社が永続していく必要不可欠な要素になります。
ぜひとも、上司と部下のお互いが「上司の8機能」をフル活用し(できれば一緒に「上司を使い倒す50の極意」を読み)、ともに成長してくれるような状況を作っていただければと願います。
著者プロフィール:田中和彦
株式会社プラネットファイブ 代表取締役
人材コンサルタント/コンテンツプロデューサー
1958年、大分県生まれ。一橋大学社会学部卒業後、リクルートに入社。人事課長、広報室課長、転職情報誌『週刊ビーイング』『就職ジャーナル』など、4誌の編集長を歴任。その後、ギャガ・コミュニケーションズで映画プロデューサー、キネマ旬報社/代表取締役を経て、現在は、「企業の人材採用・教育研修・組織活性」などをテーマに、"今までに2万人以上の面接を行ってきた"人材コンサルタント兼コンテンツプロデューサーとして活躍中。新入社員研修、キャリアデザイン研修、管理職研修などの講師や講演は、年間100回以上。著書に、『課長の時間術』『課長の会話術』(日本実業出版社)、『42歳からのルール』(明日香出版社)など多数。
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