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» 2013年05月24日 08時00分 UPDATE

ITmedia エグゼクティブ勉強会リポート:マジンガーZの格納庫は72億円――独創的なアイデアで広報活動を活性化 (1/2)

「マジンガーZの格納庫を作ったらいくらになるか?」不可能とも思えることを実現している人たちが、前田建設工業ファンタジー営業部にいる。この壮大なプロジェクトは他社をも巻き込み、10年も続いている。

[山下竜大,ITmedia]

 アイティメディアが開催している「ITmediaエグゼクティブ勉強会」に前田建設工業 総合企画部 広報グループ、岩坂照之氏が登場。建設業界のファンを獲得することを目的に公開しているファンタジー営業部ホームページのコンテンツに基づいて、「マジンガーZの格納庫を作ったらいくらになるのか? 〜異業種コラボレーションによる広報活動〜」と題した講演を行った。

前田建設ファンタジー営業部とは

iwasaka2.jpg 岩坂照之氏

 前田建設に「ファンタジー営業部」という部門があるわけではない。ファンタジー営業部とは、2003年2月にスタートしたホームページの企画名称であり、その企画に関わる担当チームの名称である。ホームページでは、アニメやゲームに登場する構造物を実現するために必要な概算費用や工事期間を検討する過程が連載企画として公開されている。

 「アニメの世界だから、ゲームの世界だからと軽んじるのではなく、もし前田建設が実際に受注した場合に、実現可能なのか、実現可能であれば、費用はいくらかかるのか、期間はどれだけ必要なのかを、大まじめに考えてみようということからスタートした企画であり、早いもので10年目を迎えた」(岩坂氏)

 主な検討物件は、マジンガーZの格納庫を作ったらいくらになるのか?(2003年)、銀河鉄道999の地球発進用高架橋(2004年)、グランツーリスモ4のサーキット(2005年)、世界初!ロボット救助隊を創ろう(2006年)、機動戦士ガンダムのジャブロー基地(2010年)、宇宙戦艦ヤマト2199の発進準備工(2012年)など。

 「なぜこのような企画が10年も続いているのかとよく聞かれるが、技術や業務の中身を広く、楽しく、分かりやすく周知したいという思いが共感を得たため」と岩坂氏。ファンタジー営業部の目的は、大きく3つ。建設業界および前田建設のファンを増やすこと、優秀な人材を獲得すること、社内の若年技術者の活性化である。

会社のプロジェクトたりうるものか

 ファンタジー営業部は、トップダウンの企画ではない。現場の担当者が中心となり、建設業の広報業務を見直さなければならないという問題意識のもとに、ボトムアップで実現した企画である。岩坂氏は、「この企画を実現するにあたり、検討したのは会社のプロジェクトたりうるものなのかということだった」と話す。

 そこで、まずは基本的なコンセプトを確立する。岩坂氏は、「誰に対し、どのような手段で広報活動を展開するかを明確にすることが必要だった。当初は予算がないので、ウェブを使わざるを得ない状況であり、ウェブを使うのであればアニメの親和性が高いのではないかと考えた。またメインユーザーを40歳代の男性に設定した」と言う。

 「特に重視したのは、アニメ作品と構造物の選定だった」と岩坂氏。またアニメを題材とすることから原作者と著作権者への配慮も重要な課題だった。さらに社内調整として、工期・工費を公開するか、コアメンバーを誰にするか、上層部をいかに説得するかなど、解決すべき課題がいくつもあった。

 「特に上層部の説得には工夫が必要だった」と岩坂氏。最終的に、1年間実施してページビュー(PV)が現在の2倍にならなければ撤退するという撤退ルールを策定すること、時間外活動として実施すること、前田建設のホームページには掲載することで上層部を説得した。しかし、さらに版権交渉という大きな壁が立ちふさがることになる。

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