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» 2016年08月18日 07時18分 UPDATE

ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術:逆境でも組織を動かすリーダーに求められるもの (1/2)

企業は人の集まり。リーダーは、仕組みを変えることと、それを実行する人間の双方の問題に取り組まなければ結果は出せない。

[出口知史,ITmedia]

 この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。


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『東大生が実際に学んでいる戦略思考の授業: 経営学は、生き残るための教養だ!』

 経営コンサルティング会社や産業再生機構など複数の投資ファンドに在籍していた際に、かつては業績が良かったものの現在は不振に陥っている企業を何社も見てきました。しかし、オーナーの変更など経営体制や方針が大きく変わる、社内外に混乱を招きかねないリスクのあるタイミングから自分自身が経営者として参画した会社については、結果を振り返れば全ての期について対前年比で利益を伸ばしてきました。

 旧来型の産業には、大きなものから小さなものまでいくつかの収益性を維持・向上させるための勝ちパターンがあり、それぞれはおおよそシンプルなものです。会社や事業モデルの現状と理想とのギャップがどこにどれくらいあるのかという分析がまず必要です。そのうえで、なぜそこから外れてしまっているのか、軌道修正できなかったのかという問題を解きほぐして一つ一つ粘り強く対策を打っていかなければなりません。

 会社をおかしくさせるのは主に、利益を出す仕組みが競争環境の変化についていけなくなってしまう戦略上の要素と、日々の取組みを実行する組織内のさまざまなレイヤーによる意思決定の過ちの積み重ねとがあります。前者は分かりやすい、すなわち正しやすい課題です。しかし後者については見えにくく時間がかかりますし、リーダーがあらゆる手を尽くして組織の上から下まで継続的に関わっていかなければ解決できない問題です。

 企業といえども人間の集まりにすぎないため、会社や組織を変えたり伸ばしたりしなければならないリーダー(達)は、仕組みを変えることと、それを実行する人間の問題の双方に取り組まなければ結果は出せません。

正しいと思ったら1人ででも試してみる

 意思決定を誤るケースとして多いのが、過去の成功体験に囚われること、新しい取り組み、社内慣習や常識からの逸脱に対して過剰にネガティブな反応を示すことです。

 以前経営していた会社では、着任当初の見立てとして、弱点補強のためには社内の各所に外からの人材採用は必要不可欠でした。ところが財務状況が極めて悪いので、ボーナスどころか給与水準の維持でさえも本音のところでは確約できない状態です。そんな状態では普通に募集をかけてもまともな人材は来てくれません。募集告知に「お金はないが、仕事の機会と夢だけは溢れている」というキャッチフレーズを掲げたところで反応はお寒いものでした。

 そこで、3カ月間の契約社員、ただし相場の3割増しの給与、「普通に」認められれば相場給与で正社員化という条件に切り替えました。社内では「(どうせ誰も応募がないから)意味がなくて無駄」と言われ、人材エージェント主要各社からは「非常識ですし、"普通に"っていったいなんですか? 説明できません」と反対されました。

 こんなに厳しい条件でも果敢にエントリーしてくるような、なにがしかの理由で真っ当に働くことを渇望している人でないとどの道今の会社ではやっていけないと考え、選考ポイントは意欲とその理由と対話力だけに絞り、学歴や職歴も不問にして、(当初誰も協力してくれませんでしたので)自分自身で説明会を開き採用活動をしていました。最初に採用できた人が優秀と認められたおかげで徐々に協力も得られ、社員の1割近くに相当する人員を採用でき(期間満了と同時の退社はうち1割でした)、プロパー社員とともにさまざまな取組みに挑戦できました。

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