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» 2017年05月31日 07時26分 UPDATE

ITmedia エグゼクティブ勉強会リポート:頻発する建設プロジェクト問題――解決の鍵は「コンストラクション・マネジメント」 (1/2)

豊洲新市場への移転や新国立競技場の建設など、最近問題 が頻発している。こうした問題の発生を防ぐには、コンストラクション・マネジメントによる「発注者主導型」のプロジェクト支援が不可欠になる。

[山下竜大,ITmedia]

 ITmedia エグゼクティブ勉強会に、プラスPMの代表取締役社長で、一級建築士および認定コンストラクション・マネジャーである木村讓二氏が登場。「他人事ではない! 専門家不在の建設プロジェクトの罪悪」をテーマに、正しい建設プロジェクトはどうあるべきなのかについて事例を交えて紹介した。

専門家が存在しない建設 プロジェクトの罪悪

プラスPMの代表取締役社長 木村讓二氏

 コンストラクション・マネジメント(CM)とは、建築プロジェクトの推進を支援する仕事である。例えば、新しく工場や自社ビルを建てる場合、建築会社を選んだり、図面をチェックしたり、予算書を作ったりするのが、CMの役割である。CMが注目されるようになった背景には、建設プロジェクトにおける数々の問題がある。

 最近の話題としては、いまだに解決の糸口が見えない豊洲新市場への移転や、その前には、新国立競技場の建設問題もあった。さらに、横浜のマンションにおけるくい 打ちデータ偽装事件もあった。このような建築関連の問題を、特に印象づけたのが、姉歯一級建築士による耐震強度偽装事件であった。

長引く豊洲新市場への移転

 豊洲新市場の土壌問題は、東京ガスが土壌汚染調査を行い100億円かけて対策工事を実施し、安全宣言をした後に、東京都が1859億円で購入を決定したにもかかわらず、東京都が再度土壌汚染調査を実施した結果、追加対策費として850億円が必要になったというものだ。このとき、東京ガスの負担はわずか78億円だったことも問題視された。

 「不思議なのは、最初に行った東京ガスの調査と、次に行った東京都の調査ポイントが異なっていることです。それぞれ、誰の指示だったのかが疑問です。また、必要な盛り土がなされていなかったため、その後の調査で有害物質が規制値を超えていたことも問題視されました。これにより、豊洲新市場への移転が宙に浮いています」(木村氏)

 豊洲新市場の最大の課題ともいえる土壌汚染対策においては、土壌汚染対策法という法律に準ずることが必要になる。土壌汚染対策法は、敷地面積が3000平方メートル以上の土地を対象に、(1)土地を売却する場合、(2)敷地内の土地を搬出する場合、しっかりと調査を行い、対策をすることという法律である。

 調査方法は、敷地を10メートル×10メートルの区画に区切り、採取ポイントを決定。各区画に深さ1メートルまで管を挿入して採取した「土壌ガス」と、深さ50センチまで採取した「表層土壌」を分析する。処理方法としては、「現地での封じ込め」のほか、掘削して処理場に搬出する「掘削除去」、バイオや酸化剤などを利用した「原位置処理」がある。

 「東京ガスと東京都の調査結果が異なるのは、どの区画で調査するかによって、分析結果が全く違ってくるからです。東京ガスも東京都も、意図的に汚染が出ない場所を調査させた疑いがあります。また、競争原理が働かず、予定価格の99.99%で落札されたために、建設費が膨張していることも問題の1つです」(木村氏)

発注者主導型でプロジェクトを支援

 こうした建築関連の問題が発生するのを防ぐためには、コスト、品質、スケジュールを総合的に判断する経験と能力が必要になる。一般的には、デザインを重視すれば、コストと工事期間がかかり、予算を重視すれば、使い勝手が悪くメンテナンスコストやランニングコストがかかってしまう。そこで、発注者を支援するCMという新しい職業が登場した。

 CMに求められる役割は大きく3つあり、(1)説明責任を果たせるプロセスの透明化、(2)建設予算の厳守、(3)品質とスケジュールの厳守だ。同時にCMは、ゼネコンと対峙(たいじ)するのが仕事である。木村氏は、「ゼネコンと"けんか"をするという意味ではなく、建設プロジェクトを適切に推進するために"向かい合う"というイメージです」と言う。

 一方、ゼネコンとは、ゼネラル・コントラクター (総合建設会社)の略であり、協力工事会社を使って、建物を完成させるのが役割である。ゼネコンは、図面に基づいて見積もりを出す積算部、仕事を受注する営業部、図面に基づき、受注金額と決められたスケジュールの範囲で建物を完成させる工事部などで構成されている。

 ゼネコンには、清水建設、竹中工務店など、売り上げが1兆円を超える「スーパーゼネコン」と、戸田建設、長谷工コーポレーションなど、売り上げが3000億円〜5000億円の「大手ゼネコン」がある。木村氏は、「ゼネコンにもマンションが得意、病院が得意などの特徴があり、どのゼネコンを選定するか、発注に応じて十分に検討することが必要です」と話している。

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