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» 2013年01月07日 12時43分 UPDATE

次代の経営人材をつくる 3つの壁と成功の鍵:経営人材育成の前にある、3つの壁(前編) (1/2)

2000年代に入り経営の難易度、複雑度は急激に高まっている。現経営陣で対応していくことは難しく次代の経営者に対する期待は高まっている。

[古野 庸一(リクルートマネジメントソリューションズ),ITmedia]

 人事に関連する調査を行うと、「経営人材育成」はトップ課題になる。おおよそ8割の企業が課題であると言っており、その傾向は、2000年代に入って10年以上続いている。なぜか。端的に言うと、「経営人材」需要に対して、供給が追いついていないという状態が続いているからである。

なぜ経営人材育成は10年以上、トップの課題なのか

 昔から、多くの経営者は、「次を担わせる人がいない」と言う。よくよく聞くと、「自分よりもうまく経営ができそうな人がいない」という意味である。それはそうである。その時点で、最も経営がうまくできそうな人がトップであるべきであり、そのトップより、うまくできそうな人が他にいれば、さっさとその人にトップを譲るべきである。

 スポーツの世界では、歳をとれば、能力が露骨に劣ってきて、長くトップでいることは難しい。ゆえに世代交代が自然におこる。一方、経営の世界は、経営の経験によって培っていく能力、知識、スキルが多いため、現役の経営者のほうが経営者候補より優れているという状態が自然である。しかも、経営者は経営を常に行っているが、経営者候補は経営を必ずしもやっているわけではないので、その差は広がっていく。そういう意味で、構造的に、次代を担う経営者は不足する状況になる。

 しかしながら、そのことは1990年代まで、あまり問題にならなかった。なぜなら、経営者と業績の関係がよく分からなかったからである。会社によっては、2期4年無事であることがトップに求められた。高度成長に伴い市場そのものが広がったり、規制で守られたり、強固なビジネスモデルがあれば、トップは何もしなくても誰がやっても大差がなかった。そうであれば、会社全体のモチベーションが下がらない人をトップに選ぶというインセンティブが働く。ゆえに、年長者、人格者、あるいは過去もつつがなくやってきた人がトップに選ばれる。

 いい意味でも悪い意味でも、今でもそういう企業は存在する。しかしながら、90年代に入り、多くの企業は業績が上がらなくなってきて、自然に経営トップに「どうにかしてほしい」と願うようになってきた。一方で、海の向こうでは、ガースナー氏がIBMを立て直し、国内では、ゴーン氏が日産をV字回復させたということもあって、2000年ごろから、経営者に対する期待が上がっていった。実際、「経営人材に求められる能力の質が変化している」と回答する企業は89.5%にのぼっている(注1)。

 2000年代に入ってから、多くの企業では、業績が上がらないということに加えて、ネットへの対応、グローバル化への対応が迫られていた。紙からネット、アナログからデジタルへ、リアル店舗からネット販売、マス広告からネット広告という動きは、流通、メーカー、コンテンツプロバイダーを巻き込んでいった。アナログで育った経営者たちは、自分たちでは対応できないと思い始めた。

 グローバル化もしかりである。縮小する国内市場での壮絶な生き残りを行う一方、台頭する新興国市場の開発、新興国企業との競争への対応を行っている。グローバル全体での統合を図りつつ、ローカルでの最適化を同時に行っていくことが求められ、経営の難易度、複雑度は急激に高まっている。現経営陣で対応していくことは難しく、実際、今後対応できないと考える企業も7割以上(注2)。おのずと、次代の経営者に対する期待は高まる。

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