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» 2017年04月20日 07時20分 UPDATE

ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術:「ちゃんとした会社」ほど新規事業を生み出せないジレンマ〜社内で企画案を通すための3つのコツ〜 (1/2)

合理的な経営システムは事業環境に変化がない場合は有効だが、大きく変化する中で新たな価値を生み出すには逆に作用してしまうことも多い。いかにして既存の枠組みを超えて新規事業を創出するか。

[石川明,ITmedia]

 この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。


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ボトムアップで新規事業創出に取り組む企業が増えている

『新規事業ワークブック』

 経営の合理化が進み利益を出す企業が増えている一方で、売上のトップラインが伸びないことを課題にしている企業も増えています。目先の利益は確保しているものの、将来的には市場の縮小が予想され、競争の激化で利益率の悪化が見込まれそうなことも多くの企業で懸念されています。

 そんな中「資金的に余裕がある今のうちに次代を担う新たな事業の創出を」と、新規事業開発に取り組む企業が増えています。

 中でも近年の特徴は、トップダウンによるM&Aの検討だけではなく、ボトムアップで組織の中から新しい事業を興していこうという機運が久しぶりに盛り上がっていることです。

 さまざまな企業で新規事業開発の専門部署が創設され、社員による新規事業提案制度を設ける企業も増えてきました。

「ちゃんとした会社」の新規事業開発はなぜうまくいかないのか

 とはいえ、新規事業の創出に成功する企業は少なく、成果を出せている企業も少ないのが実際です。

 新規事業開発はどこでつまずくのでしょうか。

 多くの企業では、科学的かつ合理的に経営の効率を高める努力を続けてきています。

 あらかじめ設定しておいたKPIに基づいて市場のデータを収集し、社内の状況も逐次迅速に数字で把握し、ITを活用して綿密な分析を行い、関連部署や役員間で情報を共有した上で、十分な議論を経て正しい経営判断を行います。

 「ちゃんとした会社」の経営システムは近年実に進化しているのです。

 ところが、皮肉なことに合理的に経営の効率を高めようとしている取り組みが、こと新規事業開発においては逆に作用してしまうことが往々にして起きます。

 市場のデータをより効率的に収集しようとすると、現場に出ていく非効率な行動を取らなくなりがちです。自ら働きかけなくても情報が共有されることに慣れてしまうと、あえて問いかけをして本質的な議論を面倒に感じてしまうようになります。また一定のルールの下、多数決で物事を判断していくと、エッジの立ったアイデアは認められなくなりがちです。

 合理的な経営システムは、事業環境に変化がない中で既存の枠組みの効率を高め改善していく上では有効な仕組みですが、事業環境が大きく変化していく中で新たな価値を生み出そうという新規事業開発においては、逆に作用してしまうことも多いのです。

 結果として多くの「ちゃんとした会社」では、既存事業の枠組みからはみ出るビジネスチャンスに気付くことができず、新しいアイデアは許容されず、リスクを伴った投資判断に至らなくて、結果として新たな事業を生み出せていません。

 経営力を高めようと進化させてきた経営の仕組みが、実は新規事業創出のハードルになってしまっているとしたら、皮肉なことです。

 ですが、新規事業とはそもそも非効率な活動、非合理的な判断の元からしか生まれてこないものなのです。

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