ドローンが上空から撮影した森林の画像をAIで解析し、ナラ枯れの状況を把握することで、調査にかかるコストが大幅に減少するという。
ナラ菌によりミズナラなどが集団的に枯れる「ナラ枯れ」の把握を効率化しようと、埼玉県所沢市と京都大発のスタートアップ(新興企業)「ディープフォレスト・テクノロジーズ」(京都市)などは、所沢市三ケ島の樹林地で実証実験を行った。ドローンが上空から撮影した森林の画像をAIで解析し、ナラ枯れの状況を把握することで、調査にかかるコストが大幅に減少するという。同市は令和7年度からの事業運用開始を検討している。
ナラ枯れは、体長5ミリほどのカシナガという小さな虫が媒介するナラ菌により引き起こされる。ナラ菌が繁殖した木は樹幹の通水機能が低下し、急速に枯れてしまう。全国のナラ枯れ被害は平成22年度をピークに減少してきたが、令和2年頃から再び流行が始まり、同市が管理する樹林地でも、2年に92本、3年に422本、4年に1088本の被害が確認された。放置すると周辺樹木への被害拡大や倒木の危険があるために対策が必要で、同市によると昨年は枯れた木の伐採に1億1千万円以上の費用がかかったという。同市みどり自然課の増田義彦主査も「(調査のため)下草が多く、人が入れないようなところにも入っていかなければならず、大変だ」と苦労を語った。
こうした状況を解決しようと、同市とディープフォレスト、NTT東日本は10月16日、「ナラ枯れ把握効率化の実用化実証実施協定」を締結し、実証実験を開始した。同月17日の実験では、同市三ケ島2丁目の約9.8ヘクタールの樹林地上空をドローンが約30分間飛行し、約500枚の画像を撮影。ディープフォレストが運用するAI解析ソフトで樹木を識別し、ナラ枯れが発生している樹木を検出した。この樹林地はこれまで、職員4人が4日をかけて調査をしていた。
実用化となれば森林保全のためのコストを大幅に削減できるとみられる。同課の加賀屋浩介課長は「(樹林地を解析し、再現した)3次元の画像には驚いた。この技術を今後所沢市の樹林管理に活用できれば」と話した。(山本玲)
copyright (c) Sankei Digital All rights reserved.
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上
早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授