ビジネスとITを繋ぐビジネスアナリシスを知ろう!

ビジネスリレーションシップ・マネジメントでビジネスアナリシス・コンピテンシーを強化する(1/2 ページ)

第1回:なぜDXにおいてビジネスアナリシスが必要なのか

第2回:ビジネスアナリシスの知識体系BABOKガイドとは(前編)

第3回:ビジネスアナリシスの知識体系BABOKガイドとは(後編)

第4回:アジャイルとビジネスアナリシス

第5回:データードリブン経営へ向けて:BDA入門

第6回:プロダクトオーナーシップ とは:POA入門

第7回:戦略と実行の橋渡し、ビジネスアーキテクチャの役割――デジタル時代を生き抜く、企業の新しい羅針盤

第8回:要件定義をツールで行なう:ビジネスアナリシスツールの紹介

第9回:ビジネスアナリストの人材育成

第10回:日本で生まれたBA方法論 匠Method

第11回:日本で生まれたビジネスアナリシス方法論:GUTSY-4

第12回:日本で生まれたBA方法論 RDRA

第13回:DX推進・DX人材育成手段としてのビジネスアナリシス実践例

第14回:重要な経営課題を デジタルで解決するために――ビジネスアナリスト(BA)ならデジタルを活用した解決案を提案できる

第15回:ビジネスアナリシスは誰もが使える思考と行動の基盤――ビジネスアナリシスの原点は日常生活の中にある

第16回:ビジネスプロセスマネジメントのこれまでとこれから

第17回:ビジネスルールと意思決定の自動化

第18回:ビジネスアーキテクチャで変革のビジネスアジリティを実現する

 第19回目は「ビジネスリレーションシップ・マネジメントでビジネスアナリシス・コンピテンシーを強化する」です。

 近年のデジタルやビジネスのトランスフォーメーション活動は、従来の部門やプロダクトグループや特定事業に閉じた改善活動や改革活動よりも、複雑さを増してきています。

 例えば、新しい革新的な技術の適用と変化への対応、部門や事業を超えた業務やシステムの再構成、従来にはなかった多様なステークホルダの巻き込みなどです。

 デジタルやITを用いてソリューションを提供している開発組織は、従来の提示された要求に基づき、QCDを担保して良いモノづくりをすることが主たる業務だった時代から、よりビジネス価値を創出すること自体へ貢献することが求められるようになってきています。

 ビジネスアナリシスは、まさにこうしたステークホルダのニーズに対してソリューションを提供するチェンジ活動を推進し、価値を創出する役割です。しかし、ビジネス環境の不確実性が高く速いスピードで変化し続ける中で、顧客やユーザが自らのニーズを理解して明確な要求を提示しにくい時代になっており、何をすれば価値を生み出すことができるのか自体が分からなくなってきています。

 多くの人が感じているとおりですが、そうした環境変化の中で、論理的に問題を分析するアプローチからデザイン思考アプローチのビジネスアナリシス活動が増えてきています。また、アジャイル型のビジネスアナリシス活動としてのプロダクトマネジメントやプロダクトオーナーシップアナリシスも重要なアプローチになってきています。

 しかしそうしたアプローチを導入するだけでは十分な効果は得られず、開発組織はより根本的な問題を先んじてまたは同時並行で解決する必要があります。

 開発組織は、ビジネスパートナーが新しいビジネスの戦略や改革施策を検討する初期の段階から協業できているでしょうか? これこそが重要な課題であり、それはビジネス(業務)組織と開発組織とのパートナーシップの問題です。

 開発部門は単独で活動するわけではなく、外部顧客または組織内の顧客としてのビジネスパートナーのために価値を創出し、どのようにコラボレーションして価値創造できるかが重要になってきます。

 こうした問題を解決するには、さまざまな組織でビジネスリレーションシップ・マネジメントの活動が推進されています。それは、ステークホルダとのパートナーシップを強化し、そうした組織的文化を作り、そして価値実現を推進するビジネスリレーションシップ・マネジメント能力の向上とリレーションシップの成熟度の向上であり、より高度なビジネスアナリシス活動を実践するための試みと言えます。

 BABOKR(Business Analysis Body of Knowledge)では、ステークホルダエンゲージメントや基礎コンピテンシーの人間関係構築の重要性について触れられていますが、開発組織としてビジネス価値創出のレベルをあげて戦略的なパートナーシップ構築を行うための具体的なフレームまでは与えてくれていません。こうした領域がビジネスリレーションシップ・マネジメント(以下BRM)として整理されており、米国のNPOであるBRM Instituteが知識体系化しています。日本語のガイドブックもアマゾンで販売されているので、参考にしてもよいかと思います。

パートナーシップを強化する

 開発組織とビジネス組織との間のパートナーシップの強さは、BRM成熟度モデルとして表現されています(図-1)。ビジネス組織と開発組織は、共に高いレベルのビジネス変革を実現するよう活動の成熟度をあげていきますが、両者がより高いレベルでの協業を行うためには、より成熟したリレーションシップを必要とします。

 ある程度のポジティブな信頼関係が認められるのは、決められたスコープやサービスレベルで確実にサービスを提供できるサービスパートナーレベルからです。テクノロジーに関しては完全に信頼を得ている「信頼できるアドバイザー」、両組織でビジネス成果に対して共有された責任を持つ「戦略パートナー」へと成熟度があがっていくにつれて、パートナーシップも成熟していきます。

 近年のデジタルトランスフォーメーションのような非連続なビジネスや業務の改革に取り組むにあたり、高い不確実性と不透明さの中でデジタルやIT技術を用いてビジネス成果を達成するためには、両組織が戦略パートナーとして、ワンチームで協業活動を行うことが求められています。

 パートナーシップの構築は、待っていても向上しませんし、1日にして達成できるものでもありません。私たちは意思をもって、ビジネス組織と開発組織の間での、目指すべきリレーションシップ成熟度、そこにおける具体的な関係性とオペレーションモデル、そこにたどり着くためのアクションとロードマップを描き、両組織において合同で進めていく必要があります。

図-1 ビジネス・IT組織の成熟度とビジネスリレーションシップ成熟度
印刷する
SNSでシェア

ビジネスとITを繋ぐビジネスアナリシスを知ろう!

この連載の記事をもっと見る

この記事の著者

塩田宏治
塩田宏治

株式会社クリエビジョン代表取締役  IIBA認定CBAP(R) (Certified Business Analysis Professional) Open Group認定TOGAF(R) Enterprise Architecture Practitioner (TOGAFR10) Open Group認定TOGAF(R) Business Architecture Foundation 米国PMI認定PgMP(R)(Program Management Professional) 米国PMI認定PMP(R)(Project Management Professional) Scaled Agile認定SAFe(R) SPC(SAFeR Practice Consultant) 【略歴】 ・NTTデータ、ソニーを経て、独立。プロジェクトはモノを作るだけの活動ではなく顧客とビジネスの価値を生み出すチェンジ活動であるという信念のもと、プログラムマネジメント、ビジネスアナリシス、ビジネスアーキテクチャやエンタープライズアーキテクチャ、エンタープライズアジャイルなどの専門領域の経験と知識・スキルを活用し、顧客のビジネスおよび組織のトランスフォーメーション活動を支援し続けています。 ・IIBA日本支部理事 ・Issa日本支部アドバイザリーボード ・経済産業省 ビジネスアーキテクチャ人材の育成に関するタスクフォース 委員 ・北海道大学非常勤講師 ■https://www.crea-v.com/□(株)クリエビジョン■のサイトからビジネスアーキテクチャの紹介をしています ロジャー・バールトン氏の「ビジネスアーキテクチャ」日本語版が近日中に出版されます。

関連記事

ITmedia エグゼクテブのご案内

「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。 勉強会のスケジュールはこちら

ぜひこの機会にお申し込みください。

入会希望の方は必要事項を記入して申請ください。審査のうえ登録させていただきます。

入会条件:
上場企業および上場相当企業の課長職以上

※入会は無料です

エグゼクティブコンテンツ

アクセスランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

ITmedia エグゼクティブ SNS

X @itm_executiveをフォロー

インフォメーション

注目情報をチェック

ITmediaエグゼクティブをフォロー