ビジネスアナリシスは誰もが使える思考と行動の基盤――ビジネスアナリシスの原点は日常生活の中にあるビジネスとITを繋ぐビジネスアナリシスを知ろう!(1/2 ページ)

日常生活やビジネスの世界で、課題や問題に対応する考え方や解決の方法が整理された概念として提供されるならば、多くの課題や問題に対しても効果的かつ効率的に活用できるはずだ。そのような概念がビジネスアナリシスであれば、誰にとっても理解しやすい概念だ。

» 2025年04月23日 07時05分 公開
[上田靖之ITmedia]

日常生活では課題解決の連続

 日常生活において、私たちはいろいろな課題や問題に直面し、それらを解決しながら暮らしています。ビジネスの世界においてもその状況は同じです。日常の生活とビジネスの世界では、環境や複雑さが異なり、発生する課題や問題の難しさが異なるように見えますが、基本的な現象やその発生要因、解決策などは本質的には類似であると言えます。

 このようなどこにでもある課題や問題に対応する考え方や解決の方法が整理された概念として提供されるならば、多くの課題や問題に対しても効果的かつ効率的に活用できるはずです。そのような概念がビジネスアナリシスであれば、ビジネスアナリシスは誰にとっても日々の生活の中での行動と類似であり理解しやすい概念です。

日々の思考と行動はビジネスアナリシス

 ビジネスアナリシスは、ビジネスにおけるいろいろなニーズに基づく課題解決の可能性を高め、変革を推進するための基盤となる思考と行動の有効な手段ですが、これまでの説明の難解さから、一般の人たちには専門的で難しい概念であるとの印象を与えています。

 私たちの日常生活で直面する課題や問題解決のための思考や行動と基本的に同じであると分かれば、誰にも身近な概念であると理解できます。事実、ビジネスアナリシスは、日々誰もが利用している問題解決の思考や方法の経験や実績から基本的で有効な方策を取り出し、知識体系として整理したものであって、その多くは無意識のうちに日常生活の中で実行していることやそれらの組み合わせです。日常生活では直面する課題や問題を捉え、分析し、議論し、解決しながら暮らしていますが、それはまさにビジネスアナリシスの基礎です。

ビジネスアナリシスの原点は日々の思考と行動の中にある。

日常生活とビジネス課題は類似

 課題には計画型と対応型がありますが、家庭における家計の計画、日用品や食品の購入、家族旅行の計画と実行、家具や家屋の修理、怪我や病気の治療、スポーツとトレーニング、地域活動などどれもニーズと目標があり、成果を求める課題です。

 これらの課題をビジネスの世界に置き換えてみれば、業績の評価と予算計画、原材料の購入、海外事業の視察、施設や設備の修理、製品事故への対応、生産技術の向上、業界活動など類似の課題があります。これらの課題は規模と構造の複雑性は異なりますが、原点にあるニーズや背景、対応方法を含めて本質的に類似です。

日常生活とビジネス課題の類似性

基本行動は同じエンジニアリング

 家族旅行の日程計画の作成には、どんな旅行をしたいのかを家族で議論し、目的地の選択と家族の日程の調整から概略の全体計画を描き、交通手段を調べ、ホテルを選択し、旅先での計画を組み、設定した制約の中で費用を含む全体の最適性を確認して行動計画を確定します。ここで実行される基本行動はビジネスにおけるプロジェクト計画策定と本質的に同じであり、調査と評価、議論と検討による判断、交渉、評価によるフィードバックなど共通の行動で構成される最適化のエンジニアリングです。

利用する手法や技術は自由な選択と組み合わせ

 ビジネスアナリシスは柔軟に利用できる日常の課題や問題の解決、環境変化への対応、事業改革や変革などの戦略の立案から実行までの行動を支援できる思考の手段であって、どのような技術も利用が可能であり、利用方法は使う人の自由な選択と組み合わせで構いません。ビジネスアナリシスはあくまでも思考や行動の意思決定のための手段であって、その結果は利用する人の知識や経験、能力やアイデア、分析や判断、そして何よりも実行しようという意識と行動に大きく依存し、適用先に制限がなく柔軟な可能性をもっています。

どのような場面で誰が利用するか

 日常生活においていろいろな課題や問題に直面する人たちと同様に、ビジネスでは経営の変革を進めようとするトップマネジメントを始めとする経営層、事業の効果的な課題解決を展開しようとする事業部門や管理部門のリーダー、組織の業務改革を立案しようとする経営企画や戦略部門、経営システムの刷新を計画する情報部門の幹部、システム部門のリーダーやシステムエンジニア、価値のある製品やサービスを提供しようとする市場戦略の計画者、生産性の向上を目指す現場の技術者などビジネスの変革を意図している人たちそれぞれの分野で、簡素な課題から複雑な問題までのレベルに応じて利用できる概念です。利用する人たちの職位レベルそれぞれで活用でき、目的に応じた利用が可能です。実行においては、組織共通の整合性のある目標と思考と行動が必要です。

 さらに、企業に働く人たちだけではなく、行政機関、公共団体、非営利組織、国際機関、教育機関、研究機関、医療機関、交通機関、農林水産機関、介護施設、報道、娯楽、各種組合、クラブ活動、ボランティア活動、地域活動、各種プロジェクトなどあらゆる組織で活動する人々が効果的な思考と判断の支援を得るために活用できます。

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