下記のグラフは、CIOがIT部門の各役割の能力を10点満点で採点したもの(黒の横棒グラフ)、および2012年までに企業成長に貢献するITを目指すには、どの程度の能力が求められるかを10点満点で表現したもの(黄の横棒グラフ)です。
このグラフから、2012年までにITがビジネスの成長に貢献するには、各役割において能力の伸長が必要であるということが分かります。縦軸には、上から2008年の点数が低いもの順に役割を並べています。つまり、2012年までに能力を開発しなければならない役割が、グラフの縦方向に上から順に示されています。
頑張らなければならない上位のベスト4(赤枠で囲った部分)は、いずれもビジネスの現場を熟知していないと太刀打ちできない内容です。少なくともプログラミング言語を習得している場合ではないことが分かります。
この結果はCIOが自身で自己採点したものです。将来に向けてIT要員が備えなければならない能力を「ビジネスの現場や実態を知ることがベースになる」と理解しているのに、打とうとしている手はまったく別物です。こうした事態が、「ITは経営の何に役立っているのか分からない。単純なコストではないか」と周りから罵声を浴びせられる始末になっているのではないでしょうか。
では、自身を失った経営者が何をすればいいか分からず途方に暮れているとき、CIOは何をどう支援すればいいのでしょうか。次回はこのテーマについてご説明いたします。
2006年にガートナー ジャパン入社。それ以前は企業のシステム企画部門で情報システム戦略の企画立案、予算策定、プロジェクト・マネジメントを担当。大規模なシステム投資に端を発する業務改革プロジェクトにマネジメントの一員として参画した。ガートナーでは、CIO向けのメンバーシップ事業「エグゼクティブ・プログラム(EXP)」の日本の責任者を務める。日本のCIOは、経験値だけでなく、最新のグローバル標準を研究した上で市場競争力を高めるべきとの持論を持つ。11月11〜13日に開催される「Gartner SYMPOSIUM ITxpo 2009」では「難局に立ち向かう:2010年CIOアジェンダ」と題した講演を実施する。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授