役職者の評価制度を6月から、役割と能力に応じた完全な脱年功・脱一律の新制度に移行して年収水準を引き上げ、一部に株式報酬も導入する。
ホンダは17日、役職者の処遇の見直しと、ソフトウエア・人工知能(AI)などの注力領域の人材力強化に今後5年間で約150億円を投資することを柱とする新たな人事戦略を発表した。役職者の評価制度を6月から、役割と能力に応じた完全な脱年功・脱一律の新制度に移行して年収水準を引き上げ、一部に株式報酬も導入する。引き上げ幅は部長級で200万〜300万円になるという。
注力領域は、電池関連といったエネルギー分野を含め、グローバルレベルの採用拡充や能力向上の教育支援、働きやすい拠点整備などに取り組む。
また、高度な専門性を持つ人材については6月に定年制度を廃止する。現在は60〜65歳までの任意の時期に従業員が自ら定年を選ぶ「選択定年制」を導入しているが、少子高齢化に対応し、高い技術・技能を持つ一部の従業員の65歳以降の就労を可能とすることで人材を安定して確保する。
新人事戦略は、脱炭素へ電動化とデジタル化が進む事業環境の変化に対応すると同時に、ホンダの基本理念の「人間尊重」に基づく実力主義と適材適所を徹底する狙い。記者会見した貝原典也副社長は、「第二の創業期ともいうべき変革期に存在を期待される企業であり続けるためには、事業戦略に連動した人事戦略が必要だ」と話した。
ホンダは、日産自動車との経営統合を検討しているが、これとは切り離して独自の人事制度改革を進める形だ。4月からは、個性を尊重し、徹底した意見のぶつけ合いで成果を出す自由闊達なホンダ伝統の企業風土を再強化する全社的なプログラムもスタートする。
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授