令和6年6月の株主総会で、「物言う株主」などから議案を提出する「株主提案」を受けた企業が3年連続で過去最多を更新する。
令和6年6月の株主総会で、「物言う株主」(アクティビスト)などから議案を提出する「株主提案」を受けた企業が91社と、3年連続で過去最多を更新することが17日、三菱UFJ信託銀行のまとめ(13日時点)で判明した。件数も336件と高水準だ。株主還元につながる自社株買いや増配の要求が目立つ。損害保険大手4社のカルテル問題で注目を集めた、企業間で株式を持ち合う「政策保有株」も焦点となる。
株主提案が増えている背景には、東京証券取引所が昨年3月、株価が1株当たり純資産の何倍まで買われているかを表す「株価純資産倍率(PBR)」の改善を要請したことも影響している。PBRが1倍を割り込むと、投資家が今後の成長に期待していないとされ、企業価値向上を求める株主提案が出やすくなる。
投資会社のストラテジックキャピタルは6月総会で8社に株主提案を行い、このうち3社に対してPBRを1倍以上とする計画の策定を求めている。
年明け以降の株高で含み益が増えている政策保有株の取り扱いも注目されている。議決権行使助言会社や機関投資家には、政策保有株を過剰に抱える企業トップの選任に反対する数値基準策定の動きも広がる。
大和総研の鈴木裕主席研究員は「海外投資家などの間には政策保有株を売却し、配当などに回すべきという考えがある」と指摘。政策保有株の削減に関する株主提案を議決権行使助言会社が支持するケースもあり、企業が売却加速などの対応を求められる可能性もありそうだ。
東証によると、3月期決算の上場企業のうち、5月に総会を開催した2社を除く、2262社が6月中に総会を開催する。ピークは27日で、全体の3割弱に当たる668社が開催を予定する。(永田岳彦)
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