今夏の猛暑が予測される中、エアコン各社が国内の生産体制を強化している。
今夏の猛暑が予測される中、エアコン各社が国内の生産体制を強化している。これまで中国などで海外生産していたメーカーが、円安進行や半導体不足などのサプライチェーン(供給網)の混乱などを受け、生産の「国内回帰」を進めているのが特徴だ。各社はリードタイム(納品までに要する時間)を短縮して今夏の需要期に対応する構えだ。
「われわれは静岡の地でリードタイムを短くして、顧客に届けるのを心がけてきた。他社もわれわれの策に気づいた」
三菱電機静岡製作所(静岡市)の中川英知ルームエアコン製造部長は19日、同所の創立70周年を記念した報道陣向けの視察会で、他社の動きを牽制(けんせい)した。
三菱電機はルームエアコン「霧ヶ峰」の高級モデルから標準品まで全数を同所で製造している。商品企画から設計・開発、生産、販売までを集約し、顧客ニーズに合わせた製品をタイムリーに供給するためだ。
他社も国内生産を強化しているが、熟練技術者による全品検査や作業の自動化などを重視したものづくりで対抗。作業データを蓄積して自動化を加速させる方針で、小野達生所長は「生成AI(人工知能)も取り入れ、業務の効率化を進めたい」と意気込む。
業界では中国から国内への生産移管も目立つ。日立ジョンソンコントロールズ空調は、令和6年度に日本市場向けの家庭用エアコンの国内生産比率を5年度の約30%から約50%に引き上げる計画だったが、4月に前倒しで達成した。「栃木事業所への移管でリードタイムを3週間短くできた」(同社)という。
パナソニックも滋賀県草津市の工場の生産ラインを増強。6年度中に日本市場向けの国産比率を5年度の1割から4割に引き上げ、リードタイムを従来の4分の1に短縮するという。
ダイキン工業は茨城県つくばみらい市に新工場を建設し、9年から生産を開始する。生産の国内回帰ではなく、国内強化という位置付けだ。同社の工場は関西圏に集中しており、関東エリアの需要変動に迅速に対応する。
日本冷凍空調工業会によると、過去5年の国内の家庭用エアコンの出荷台数は800万台〜900万台で推移。5年は消費低迷で前年比27万台減の878万台だったが、今夏は猛暑や電気代の高騰で省エネ製品の需要増が見込まれ、各社が国内市場を取り込もうとリードタイムの短縮に注力している。(黄金崎元)
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