産経新聞が109社から回答を得た企業アンケートでは、事業成長に向けて人手不足と社員の待遇改善が大きな経営課題になっていることが浮き彫りとなった。
産経新聞が109社から回答を得た企業アンケートでは、事業成長に向けて人手不足と社員の待遇改善が大きな経営課題になっていることが浮き彫りとなった。
新型コロナウイルス禍からの経済活動の正常化以降、さまざまな業種で人手不足感は強まっていたが、今夏の時点でも「かなり不足している」が0.9%、「やや不足している」が56.9%と、合わせて全体の6割近くを占めた。「不足していない」との回答は13.8%にとどまり、十分に人手を確保できない企業が多い。
このため、労務環境の見直しに取り組む企業が増えている。人材確保の具体策では「賃上げ」と「働き方の改善」を挙げた企業がともに8割超だった。
経団連の集計で今春闘の大手企業の賃上げ率は5.58%と33年ぶりの高水準だったが、賃上げに合わせて伊藤忠商事や丸紅、三菱UFJ銀行、日本製鉄、トヨタ自動車など初任給を引き上げる企業も相次ぎ、5万円の大幅引き上げもあった。
また、職務を明確化して、個々の能力や職責の高さにふさわしい報酬を得られる「ジョブ型」の人事制度の導入も広がっており、より能力の高い人材を好条件で処遇し、やる気のある社員が自らスキルを磨ける社内制度を整備する動きも加速している。これに伴い個人の能力に焦点を当てた対策を重視する企業も多く、7割超が「リスキリングなど人材育成への投資」を挙げたほか、活躍の場を広げる「副業・兼業の容認」が4割超を占めた。
一方、明治安田生命保険が令和9年度からの新制度で保険を販売する営業職員以外の定年を本人の希望に応じて今の65歳から70歳まで延長するなど、少子高齢化の進展で「定年延長など継続雇用制度」を拡充する企業も目立ち始めた。
アンケートは7月10〜30日に実施した。(池田昇)
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