千葉市は22日、幕張新都心を舞台にした自動運転の実証実験を始めると発表した。現実空間の環境を仮想空間に忠実に再現する「デジタルツイン」と呼ばれる技術を利用した全国の自治体で初の試み。
千葉市は22日、幕張新都心を舞台にした自動運転の実証実験を始めると発表した。現実空間の環境を仮想空間に忠実に再現する「デジタルツイン」と呼ばれる技術を利用した全国の自治体で初の試み。9月ごろまでに仮想空間に幕張新都心の街を再現し、来年3月まで安全性の検証を行う。
デジタルツインは、現実世界にセンサーを張り巡らして得た環境情報をデータ化し、仮想空間に双子(ツイン)のように同じ都市を再現する技術。巨大工場設備の効率的な運用のためなどに活用されているが、今回はこの技術を自動運転の安全性検証に活用。「バーチャル幕張新都心」で自動運転車を走らせ、課題の洗い出しなどを行う。得られた知見は現実空間にフィードバックする。
人通りや車の交通量が多い場所では事故のリスクが高く、自動運転の実験が困難とされる。今回は仮想空間で実施するため、人の急な飛び出しや信号が見づらい逆光、悪天候などさまざまな走行環境での迅速な分析、調査が可能となる。自動運転車を調達するコストや人件費も抑えることができる。
幕張新都心で人通りの多いJR海浜幕張駅前の国際通りや、幕張ベイタウンを通る約3キロのルートを想定。信号や電柱にセンサーを設置し、9月ごろまでにバーチャル幕張新都心を構築する。安全性を検証した上で、実際の幕張新都心でも、自動運転車を走らせる計画だ。
千葉市が全体の調整役を務め、デロイトトーマツコンサルティング合同会社が実験を監督。システム開発を手掛けるBIPROGY(ビプロジー)がデジタルツインの構築や安全性の検証を担う。
神谷俊一市長は会見で「幕張新都心は回遊性の向上やにぎわいの創出が求められおり、自動運転サービスは手段の一つ。デジタルツインの活用で、自動運転の実装までの時間を短縮することができる」と期待を寄せた。(松崎翼)
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