世界をリードする技術、それを活用した優秀な製品を持ちながら、世界で戦えない日本。その弱点はどこにあるのか。米倉氏は「パッケージ化する力」だという。
「単一の技術、製品を作るのはうまい。しかしそれを複合的なパッケージにする力が足りない。環境技術を買ってもらうために、どういうサービスと組み合わせるか。例えばファイナンスやソフトウェア、サービスなどと組み合わせてパッケージ化して売る、といったことがこれからは必須となります」
特に発展途上にある国々に日本の高度な技術を活用してもらうには、導入しやすい付随サービスの充実が欠かせない。多くの人に喜んでもらえるパッケージ製品をつくるには「オールジャパンの力」が必要になると、米倉氏は話す。
「アジアの国々に日本の優秀な鉄道技術を売り込むにはどうすればいいか。車両などのハードウェアだけでなく交通システム全体を売ることを考えるとき、多くの企業が協力してパッケージ化していくしかない」
日本はイノベーションというと、どうしても技術的な革新を想像しがちだ。しかし、既存の技術、製品を組み合わせて相手の望むサービスに作り変えることこそ、これからの日本が武器とすべきものだろう。米倉氏は原子力発電所から、洗濯機まで作ってしまう総合電機メーカーに関して、その事業ドメインの持ち方が非効率的だと批判的に見ていたが、最近はその総合力が新しい日本の強みになるのではないか、と考えるようになったと話す。
「世界広しといえども、原子力発電所から洗濯機まで作れるという企業グループはそれほどない。パッケージを作る上でこうした総合力は生かしていくべきだ」(米倉氏)
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明治学院大学 経済学部准教授