11月から住宅の「窓」か「給湯器」のいずれかで省エネ性能が認められれば「省エネ部位ラベル」が発行される取り組みが始まった。
11月から住宅の「窓」か「給湯器」のいずれかで省エネ性能が認められれば「省エネ部位ラベル」が発行される取り組みが始まった。基準を満たせば家を賃貸に出したり、売りに出したりする際に光熱費を抑えられる点などをアピールできる。借り主(入居者)や購入者からも注目されやすくなるという。
ラベル発行には「給湯器」か「窓」のいずれかが要件を満たすことが必須。家庭でのエネルギー消費量は、給湯と暖房で約半分を占めており、住宅の省エネ性能を高めると、これらの消費を削減できる。
暖房の消費電力を抑えるには、窓の断熱向上が有効で、「サッシ」と「ガラス」の仕様で変わる。サッシはアルミ製より樹脂製・木製、ガラスは1枚より複層のほうが優れている。リビングとダイニングのすべての窓が要件に当てはまれば、省エネ部位ラベルを表示できる。
「給湯器」は「エコジョーズ」など省エネ性能の高い5種類が対象。ほかに(1)外壁(2)玄関ドア(3)節湯水栓(4)高断熱浴槽(5)空調設備(6)太陽光発電(7)太陽熱利用ーの7項目で各要件を満たせば、ラベルに記載が追加できる。
対象は、令和6年3月末以前に建築確認申請を行った戸建てやマンション。発行手続きに必要なのは、窓や給湯器の仕様が分かる設計の図面、取扱説明書など。現況に照らして、国土交通省の委託を受けた「住宅性能評価・表示協会」のサイトに入力して、要件を満たせば入手できる。
実際、窓の断熱性能を高めると、部屋の温度がどれほど変わるのか。建材大手「YKK AP」によると、外の気温が0度、暖房設定温度が24度の部屋の場合、古い住宅によくある「アルミ製サッシ・単板ガラス窓」だと体感温度は18度。一方、断熱性の高い「樹脂フレーム・LowーE複層ガラス窓」の場合は21度となった。
窓枠関連約80社が加盟する「日本サッシ協会」の住宅サッシ部長、大野真さんによると、会員企業の窓枠関連工事の受注件数は昨年度、前年度比で2〜3倍に増え、「今年度も昨年度とほぼ同じくらいの受注件数」という。
空調総合メーカー「ダイキン工業」の広報担当者は「暖房の設定温度を1度下げると約10%の節電になるといわれる」と説明する。つまり暖房にかかる電気代も抑えられる。
住宅リフォームの後押しに
省エネの性能表示の取り組みは、光熱費の節約だけでなく、温室効果ガスの排出削減を後押しする。家庭やオフィスなどから排出される二酸化炭素やエネルギー消費の量は、ともに国全体の約3割を占めている。
環境省も令和4年度から「先進的窓リノベ事業」として、断熱性能の高い窓へのリフォーム費用の2分の1相当(上限200万円)の補助を継続中だ。
リクルートの「SUUMOリサーチセンター」の池本洋一センター長は、「中古住宅は国内で住宅の大半を占める。住宅の省エネ化が欧州より遅れている日本では大きな意義がある」と、住宅の省エネ改修が進む一因になる可能性を示唆した。(竹中文)
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