商品やサービスを創造するのと同様に、あらゆる業務において労働効率を上げるためには工夫が必要でそれを実現するのが「創造力」。ではいかにして身に付けるのか。
この記事は、洋書配信サービス「エグゼクティブブックサマリー」から記事提供を受け、抜粋を掲載したものです。サービスを運営するストラテジィエレメントのコンサルタント、鬼塚俊宏氏が中心となり、独自の視点で解説します。
この要約書から学べること
ベンチャー・キャピタリストであるジョシュ・リンクナーは、創造力を作り上げるものに関する新しいセオリーを紹介しているわけでも、創造力の重要性に関する新しい議論を展開しているわけでもありません。彼は、創造力を身につける明確で論理的な方法を教えてくれています。その結果、本書はとらえどころの無い題材に対する、大変有益で、娯楽性のある手引書となりました。本書を、創造力を高めたい読者――特に、デザイナーや製品開発チームのメンバー、マーケターなど、イノベーションに関わる仕事をしている人――にお薦めします。
「創造力」はありとあらゆる所で試されるスキルの一つとだ思うのですが、一般にはそうは認知されていない傾向にあるようです。クリエイティブな業務と、単純労働業務と部署が分かれていることが多く、それぞれの適材と思われている従業員がその任務につくということが多いように思われます。しかしなぜに、「創造力」の必要性が部署によって異なるのでしょうか? 確かに、「開発部門」や「マーケティング部門」においていえば、顧客獲得のために他社とは異なる商品サービスを開発し続け、差別化を図るためのさまざまな「創造力」を発揮していかねばなりません。
では、単純作業が多い部門のように一般に「創造力」が必要とされていないところでは、本当にその必要性がないのでしょうか? 答えは、NOだと思います。
商品やサービスを創造するのと同様に、どんな業務においても、労働効率を上げていくためにはさまざまな工夫が必要であり、それを実現するのが「創造力」にあるのではないでしょうか? もちろん、ルールも無視して、思いつくままのことを「創造力」と勘違いして取り組むのはいけないことでしょうが、正しいプロセスに基づいて、「創造力」を発揮して、業務を行うことはあらゆる部門において必要不可欠なことだと思います。特に常に変化を強いられている現代においてはそうしたセンスを身につけることが今後の会社の生き残りにも繋がると思います。
この書では、そうした「創造力」についてどのように養い、磨きをかけて行ったら良いかについて書かれています。 業務の効率化高度化のために悩む経営者の方、こうした基礎的なことからまず知識を得て実践してみてはいかがでしょうか。
多くの人が、企業リーダーだけがクリエイティブでいる必要がある、あるいは、多くの仕事や役割では創造力は求められないと勘違いしています。また、知識と技術的スキルがあれば十分に成功できると考えている人がいます。あるいは、創造力は持って生まれるものであると信じており、企業や組織レベルでの創造力など想像できないと思っている人もいます。このような考えは誤りです。あらゆる仕事が創造力を取り入れることで恩恵を得ることができますし、全ての人がよりクリエイティブになる方法を学ぶことができます。そして、どの組織も競争力を維持するためには創造力が必要であり、あなたの属する組織も、創造力を巧みに使える(あるいは使わなければならない)のです。
コモディティ化の増加、ビジネスの勢いの激化、市場参入の壁の低下、そして新製品製造コストの削減などにより、創造力の必要性はますます高まっています。多くのリーダーが、困難を乗り切るためには創造力が必要であることを理解していますし、自分の組織にはそれが欠けていることを認識しています。
自分自身と企業をよりクリエイティブにするには、論理的な「秩序ある創造力の育成プロセス」に従って下さい。このプロセスは大きく5つの段階に分かれています。それは、「問いかける、準備をする、発掘する、生み出す、実現させる」の5段階です。このプロセスの中では、順序立てて創造力に取り組むことに慣れる必要がありますが、時間が立つにつれ難しくなくなっていきます。曖昧なものに生産的に対処できるようになりますし、市場の変化に積極的かつ素早く適応できるようになります。
また、日々の問題から根本的変化をもたらすイノベーションまで、あらゆる分野で起こるさまざまな問題に、クリエイティブに対応できるようになりますし、その中でのミスも少なくなります。創造力の定義も広がり、自分がこのプロセスの中のどの段階にいるのか認識できるようになり、そのため、決まりきった型やしきたりにストレスを感じることも少なくなります。さらに、いつ他の人から意見を求めるべきかが分かるようにもなります。
創造力を養うプロセスは常にごちゃごちゃした側面を持っています。自動的に進める真っ直ぐな道のりではありません。しかし、迷子になる事や繰り返す事は多くの場合、必要なことです。創造力を養うプロセスの地図に従えば、例え迷子になっても実りのある結果を生み出すことができます。
冒頭でも書いたように、あらゆる部署で「創造力」は必要とされています。あらゆる情報が瞬時に入手できるようになった現在、他社の商品やサービスとの比較が容易になりました。そこでいかに差別化をしていくのか? それをどのように表現するのか? それは「創造力」にかかっていることなのです。商品開発やマーケティングに直接かかわらなくても、社内業務を円滑にするのはそれを行うために「創造力」は重要なものです。
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