確実にやってくる人生100年時代を、イキイキと生きられる身体作りにいかに取り組むか……。
ITmedia エグゼクティブ勉強会に、パフォーマンスアップトレーナーである角谷リョウ氏が登場。地方公務員から身体コーチに転職し、生産性の高い身体作りをメソッド化した経験を生かし、「100ライフに対応する身体作り」をテーマに講演した。
AI時代、および人生100年時代は、本当に来るのだろうか。角谷氏は「AI時代と人生100年時代は、確実に来る未来である」と言う。2014年現在、平均寿命は女性が86.83歳、男性が80.50歳である。この平均寿命は、10年間で3歳のペースで伸びている。
しかし、人生100年時代には問題が山積している。例えば2020年には、女性の半分が50歳以上になり、2024年には全国民の3人に1人が65歳以上になる。そのため、医療費が増え続ける他、2000年に1人当たり3.6人で支えていた年金制度は、2050年には1.2人で支えなければならなくなる。
次に、AI/ロボット時代にどう対応すればよいのか。銀行業務の4割がAIに置き換わるという調査報告があり、人の仕事を奪うことが危惧されている。角谷氏は、「現在のAIやロボットは、進化がすごすぎてよく分からなくなっている」としながらも、AI/ロボット時代のポイントを、次のように語る。
「AI/ロボット時代の人間は、クリエイティブな能力をさらに磨くことが必要になる。また、常に“ごきげんな状態”で、周りを幸せにできる力が重要になる。幸せそうな人の周りには、人が集まってくるからだ。さらに、明日からAIが社長になったとしても、すぐに対応できる適応力も必要になる」(角谷氏)
AI時代に対応するための身体作りの方法として「マインドフルネス」がある。マインドフルネスは、瞑想(めいそう)に近いもの。大学などの研究により、ストレスが軽減したり、頭がクリアになったり、脳の状態が良くなったりというエビデンスがあるが、なかなか効果を感じることが難しいのが実情である。
マインドフルネスの効果を、より簡単に実感できるのが「ヨガ」である。ヨガの修行には、禁戒、勧戒、ポーズ、呼吸、制感、集中、瞑想、調和・悟りの8段階がある。ヨガといえば、まずポーズをイメージするが、ヨガのポーズは全体の1段階にすぎず、最終的に、8段階目の悟りを開くことを目指している。
マインドフルネスは、ヨガの6段階目である「集中」の部分に位置付けられる。プロスポーツ選手がイメージトレーニングを行うと、実際に身体を動かしている状態と同じ脳波が現れる。マインドフルネスにより、身体を動かしたときと同じ状態になれるのは非常に重要なポイントである。
一般的に感情は、外的要因によって起きる。「成績が上がった。うれしい!」とか、「怒られた。悲しい!」とかいった感情は、外的要因によりホルモンが分泌されることで起きる感情である。また、ジョギングをしたり、食事をしたり、睡眠をとったりという、外的要因のない場合でも、同様のホルモンが分泌される。
角谷氏は、「人の感情はホルモンの分泌により起きることから、自分の感情はトレーニングによりコントロールすることができる。自分がいい状態になれる行動やパターンを理解し、その状態をトレーニングで作り出せるようになれば、感情をコントロールすることができる」と話す。その一例として、「腸脳相関」という例を挙げた。
「脳がストレスを受けると腸の調子が悪くなり、腸の調子がいいと脳はよく働く。腸と脳には相関関係があるので、脳のマネジメントは難しいが、腸のマネジメントならできる。また“腸内フローラ(腸内細菌)”も重要で、同じものを食べても痩せる人と太る人がいるように、人は脳で考えているようで実は腸内細菌に左右されている」(角谷氏)
AI時代の身体作りで大事なのは、外見ではなく身体の中身である。マッチョな身体を作るのではなく、クリエイティブな能力をさらに磨くための身体作りが必要になり、身体作りから入れば誰でも取り組みやすい。
人生100年時代の身体作りでは、健康寿命に関するデータやエビデンスを積極的に活用すべきという。角谷氏は、「例えば、オリーブオイルは身体に良いことは証明されているので食べているし、フライドポテトを週2回以上食べた人の病気になるリスクが、食べていない人の1.99倍になるというエビデンスがあり、フライドポテトを食べるのをやめた」と笑う。
また、環境や周りの力を借りることも重要。バカボンのパパは41歳で、福山雅治さんは49歳である。また、サザエさんの磯野浪平さんは54歳である。発表された当時の54歳は確かに波平さんのようなイメージだったかもしれないが、現在は60歳でも波平さんに比べずいぶん若く見える人もいる。
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授