ネバダ州ラスベガスで開催されているNetSuiteの年次ユーザーカンファレンス、「SuiteWorld 2019」には、急成長中の顧客新興企業が世界中から参加している。その1社として、独自の骨伝導技術を武器にグローバル市場に挑むBoCoの謝端明社長に話を聞いた。
「クラウドERPは、競争力を強化する必須ワザだ」──こう話すのは、独自の骨伝導技術を武器にグローバル市場に挑む社員30人規模のベンチャー企業、BoCoの謝 端明代表取締役社長だ。ネバダ州ラスベガスで開催されているNetSuiteの年次ユーザーカンファレンス「SuiteWorld 2019」で話を聞いた。
人と音の関係は、150年前にエジソンが発明した蓄音機によって劇的に豊かになったが、デジタルの時代となった今もスピーカーが空気を震わせるところは変わらない。最近は、イヤフォンで大きな音を長時間聴くことによる、いわゆる“スマホ難聴”のリスクが大きな社会課題にもなりつつある。2019年2月にはWHO(世界保健機関)が「12歳から35歳までの若者のほぼ半数にあたる11億人が、難聴になる恐れがある」と警告したばかりだ。
そんなデジタル時代だからこその社会課題に、独自の技術と優れたものづくりで取り組んでいるのが、2015年に創業したばかりのBoCo。その社名も「骨伝導」の英語、Bone Conductionが由来だ。
「鼓膜に負担を掛けずに聴ける骨伝導の技術によって、スマホ難聴のリスクを低減できるだけでなく、生まれつき難聴の人たちも聴力を取り戻せる。骨伝導で聴くという選択肢を提供することで、全ての人と音の関係をもっと良いものに変えていける」と謝氏は話す。同社にとって“北極星”ともいえる創業時からのビジョンだ。
BoCoのコア技術は、直径わずか10ミリという小さな円柱型の骨伝導デバイスと、それを高い品質で量産する技術だ。その小さなサイズのおかけで、耳たぶや耳の裏、こめかみといった、さまざまな箇所から音の振動を伝え、耳をふさがずに音楽を聴く骨伝導イヤフォンシリーズ「earsopen」が生まれた。
これまでにない全く新しいearsopenは一躍注目を浴び、カルチュア・コンビニエンス・クラブが運営するクラウドファンディングサイトで7600人から1億円の支援を得る記録的な大ヒットとなった。間もなく第1世代のシリーズがフルラインでそろうのを機に、家電量販店を中心に全国約1000店舗で販売が始まる他、中国、韓国には子会社を設立し、グローバル展開も本格化させるという。
「2019年8月に締める本年度の売り上げは10億だが、次年度は5倍を目指し、海外比率も7割に引き上げる」と謝氏は意気込む。
実際に事業を開始してからまだ2年半のBoCoだが、earsopenシリーズだけでなく、テーブルや壁など何でも振動を伝えて迫力ある大音量のスピーカーに変える「docodemoSPEAKER」を発売するなど、新製品の市場投入は迅速だ。さらにデバイスの小さなサイズを生かし、左右に分離した完全なワイヤレスの骨伝導イヤフォンも開発中だという。
しかし、謝氏はそのスピードにまだまだ不満だ。
「2年半でここまで漕ぎつけるのはすごい、シリコンバレーよりも1.5倍は速いと評価されているが、私に言わせれば中国のベンチャー企業とそれほど変わらない。彼らには勝たなければならない」(謝氏)
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授