ロボティクス、AI、IoTといった次世代テクノロジーの進化と、活用の拡大は、ロジスティクスの根幹を変えようとしている。
Logistics 4.0とは、物流の世界において現下進みつつある新たなイノベーションである。ロボティクス、AI、IoTといった次世代テクノロジーの進化と、活用の拡大は、ロジスティクスの根幹を変えようとしている。「省人化」と「標準化」による「物流の装置産業化」が起きつつあるのだ。
Logistics 4.0の本質は、「脱労働集約」にある。人的リソースに依存しないビジネスモデルに変わろうとしているのだ。その非連続な変化の先にある未来をいち早く創造できれば、次なるGAFAとなることも可能であろう。かつてのITに匹敵する革命的進化が起きようとしているのである。
機械メーカーからすれば、物流ビジネスは労働集約的であるがゆえに、事業参入の魅力に乏しい業界だった。参入障壁は低かったものの、属人的なノウハウや個別対応が必要であり、高収益を得ることが難しかったからである。「物流の装置産業化」は、この状況を根底から覆すこととなる。
資本集約的なビジネスになれば、戦略的な投資の実行により競争優位を確立することができるからだ。加えて、元来労働集約的であったため、プラットフォーマーとして寡占的地位を得るに至った物流事業者は限られる。物流ビジネスは「コト売り」への転換を果たすに適したフロンティアといえるだろう。
物流センターで使用される各種物流機械のメーカーにとって、刻下の状況は事業拡大に向けた好機と捉えられる。EC市場のさらなる成長は確実であり、物流センターでの入出荷作業は明らかに増加している。
対して、日本を始めとする先進国では人手不足が顕著であり、省人化を実現する物流機械の必要性は日増しに高まっている。属人的オペレーションを基本としていた大手物流会社でさえ、物流センターの自動化を進めるための組織を新設した。
東京にて隔年実施されているアジア最大級の物流展示会“国際物流総合展”でも、ロボットを展示するブースが目立って増加するなど、業界全体として盛り上がりを見せているといえる。
ロボティクス化の最大のターゲットは、小口荷物の多さゆえに大勢の人手を必要とするECや店舗出荷用の物流センターだ。倉庫ロボットだけではなく、パレタイザ、デパレタイザ、自動梱包機、ウェアラブルシステムといった物流機械・システムへの需要も盛り上がりを見せつつある。
投資対効果のある製品を開発・製造できれば、相応の受注を得られるはずである。物流センターでのロボットの使用はまだ極一部の施設に限られるが、往時のフォークリフトのように、一気に普及が進む可能性もある。
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授