ここで取り組んでほしいのは、学びの対象とする「気になる仕事」の目星を付けること。肩に力を入れ過ぎず、夢を膨らませるイメージでリラックスして考えてみよう。
3回シリーズ最後の今回は、第二の職業人生における天職に出会い、やりたい仕事に就くための「学び」のテーマを見つける6つの方法を解説します。具体的に学び戦略を立てる際の参考にしてください。
ここで取り組んでほしいのは、学びの対象とする「気になる仕事」の目星を付けることです。これが決まると、学ぶジャンルも大まかに定まってきます。
とはいえ、あまり難しく考える必要はありません。本当の適性は学ぶ過程で判断するので、この段階では「なんとなく面白そうだ」「少し気になる」という程度の感触でOKです。肩に力を入れ過ぎず、夢を膨らませるイメージでリラックスして考えてみましょう。
では早速、その方法とポイントを解説していきましょう。
「CAN(できる)」を「WILL(やりたい)」に変えるという意味では、これが最も目指す仕事を決めやすい方法と言えるでしょう。例えば、長年経理を担当してきた人が、その経験値やスキルを活かして税理士資格を取って独立を目指す、提案型営業の経験が豊富な人が営業コンサルタントを目指すといったパターンですね。
いずれも経験値、すでにある専門性に体系的な学びを積み上げることで実現の道が見えてきます。今の会社での仕事にやりがいや面白さを感じている人なら、比較的思い浮かべやすいはずですし、すでに目星が付いているという人も多いでしょう。
ただし、今の仕事にあまりやりがいを感じられず、職種転換を考えている人は、以下に挙げる方法も組み合わせながら工夫して考える必要があります。その際は、今までの経験値や専門性をゼロリセットするのではなく、部分的にでも活かせる仕事を探すことが大切です。20年以上にわたるキャリアはミドルにとって大きなアドバンテージ。これを無駄にすることはありません。
営業経験が豊富な人なら、長年磨いてきた対人スキルを活かせる別の仕事を探すのもいいでしょうし、研究職なら、理系的な発想や思考が求められている別の分野に目を向けるのもいいでしょう。これまでのキャリアをできるだけ活かせる道がきっとあるはずです。
今の会社での仕事とは違う仕事に就きたいと考えている人にお薦めしたいのが、子ども時代や若い頃に諦めてしまった夢をもう一度思い返してみることです。振り返れば誰でも「この仕事をやりたい」という夢を抱いていた時期があるはずです。
年齢を重ねた今となっては「若気の至り」「取るに足らないこと」と考える人も多いかもしれませんが、子ども時代、学生時代の夢というのは、あなたが思っている以上に根源的なものであることも実は少なくありません。「自分が本当にやりたいこと」を深く考えるときには、セルフルーツをたどる取り組みは非常に有効です。
例えば、小学生時代の「プロ野球選手になりたかった」という夢でも、十分、次の仕事を考えるヒントになります。今からプロの選手になるのは難しいとしても、選手をサポートするトレーナーなら努力すればなれるかもしれません。あるいは、スポーツ経済学を大学院で専門的に学び、球団の経営・運営を支援するコンサルタントになるという道もあるかもしれません。
「学校の先生になりたかった」というITエンジニアなら、EdTechが拡大する今、教育分野のデジタル教材開発で自分の専門性を活かす道もあるでしょう。
このように「この年齢では現実的に無理だ」という仕事であっても、周辺にまで目を配ればチャンスを見つけることは十分可能なのです。「そういえばあの仕事がやってみたかったんだよな」と子ども時代、学生時代を思い返して少しでも気持ちが熱くなるのを感じたなら、その思いはぜひ大切にしてください。
仕事とは別にプライベートで楽しんでいる趣味も、仕事探しのヒントになります。
第二の職業人生は、お金よりも働きがい重視。そう考えると、例えば、長く趣味で陶芸を続けていて腕前に自信があるなら、陶芸家になるという選択肢もありということです。釣りが大好きで腕に自信があるなら、釣りのインストラクターや釣り具メーカーの商品開発や、広報に協力するフィールドテスターを目指すのもいいでしょう。
まさに好きなことをそのまま仕事にするというわけです。
また、今はSNSやYouTubeなど手軽な情報発信の機会も増えていますから、本当に好きな人だからこそ提供できる情報を発信してビジネスにしていくという方法もあります。趣味で追究してきたことと自分が経験してきたビジネスとを組み合わせた、新しいサービスを始めるという考え方もあるでしょう。
マニアを対象としたビジネスは、マーケットは小さくても、一人ひとりが太い顧客になりやすく、アイデア次第で意外と食べていけることもあります。何か長年ハマっている趣味がある人は、ぜひこの方向からも考えてみましょう。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授