リーダーが睡眠を犠牲にして、仕事をしているとチーム全体がギスギスして心理的安全性も確保されず、チャレンジする風土も育まれにくくなるが、リーダーがしっかり睡眠を取れているとコミュニケーションも良好になり、ヘルプも十分、失敗を恐れずにチャレンジできるようになりやすい。
この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。
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日本は世界一睡眠時間が短く、睡眠負債による1人当たり損失額も世界で一番多いという話を聞いたことがあるでしょうか?
まだ日本が睡眠による損失を気にも留めていない間に、世界のリーダーたちは睡眠の専門家やコーチをつけて、自分にベストな睡眠を取るのが常識になってきています。
Googleをはじめ多くの先端企業ではリーダーだけでなく従業員全てに睡眠を改善するサポートが行き届いています。
日本でも交通業界だけは睡眠不調が原因による事故が相次いだために、睡眠指導を行うようになってきました。しかしまだまだ一般的な企業が積極的に睡眠改善に力を入れることは少ないのが現状です。
とはいえ最近では交通業界以外の企業も睡眠改善を導入するケースが増えてきました。その理由は高ストレス者やメンタルダウン(うつ)者増加への対策です。以前からメンタルダウンの前駆症状として最も多いのが「不眠」であることはアメリカ心理学会をはじめ多くの信用できる機関から発表されています。
私たちが今まで6000人以上のビジネスパーソンの不眠度と抑うつ度を調べた結果でも「強い相関性(相関係数=0.7以上)」があることが明確になっています
また不眠度の点数がちょうど「危険領域」になった時に、抑うつ度の平均点も「危険領域」の点数になるという「睡眠状態が危険であれば、メンタル状態も危険である」ことも分かってきたのです。(「働くあなたの快眠地図」本中より抜粋)
現状、会社におけるメンタルサポートにはさまざまな問題があります。1つはメンタル改善を受けるということは、周りから「脱落者」というレッテルや評価がされるのではないかという不安感があることです。
そしてもう1つは実際にカウンセラーや産業医と面談しても、どこまで改善するのかが不透明なことです。
しかし睡眠であれば、メンタル改善と違ってそれほど抵抗なく社員をサポートすることができます。睡眠不調の人に改善サポートの自主参加を調査すると平均で70%以上が会社のサポートによる睡眠改善を希望します。
そして睡眠が改善されて生活リズムが整うことで、抑うつ度も改善されることも分かっています。今後はおそらく睡眠改善によるメンタルサポートが主流になる可能性が大いにあるといえます。
それでは今回のテーマである「リーダーと睡眠」の関係に話を絞っていきましょう。
昨今海外では会社がかなりの時間とお金を使ってリーダーの睡眠改善に取り組んでいます。それは先ほどのメンタルダウンの防止という側面もありますが、それ以上にリーダーの睡眠状態が明確に組織に影響することがさまざまな研究や調査で分かってきたからです。
最近はハーバードビジネスレビューでも「リーダーの睡眠の重要性」が特集されたりして、ご存じの方が多いかもしれませんが、リーダーの睡眠不足や睡眠不調が
などリーダーとして重要な要素が軒並み悪化することが分かっています。
そしてさらに悪いことにはリーダー本人にはその自覚が全くないので、無意識のうちに組織に悪影響を及ぼすことになってしまうのです。リーダーが睡眠不調であることは、本人だけでなくチームメンバー、会社にとっても不幸であり大きな損失なのです。
反対にリーダーが快眠できている場合は、メンバーに対するヘルプの可能性が上がるなどのポジティブな影響が表れます。
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明治学院大学 経済学部准教授