第5回:スモールハピネスの「型」:インプット(I)〜つなぐ(T)〜アウトプット(O): ITO仕事と自分を成長させる新しいキーワード「スモール・ハピネス」(1/2 ページ)

これまでの連載でスモールハピネスの事例を紹介してきたが、最終回なので、全ての事例を振り返りつつ、共通してみられる「型」について話そう。

» 2022年04月13日 07時06分 公開

 これまでの連載でスモールハピネスの事例を紹介してきました。今回は最終回なので、全ての事例を振り返りつつ、共通してみられる「型」について話します。

 スモールハピネスの説明はジグソーパズルで行いましたが、これは、ばらばらのピースをつなげて全体像をつくるという営みです。つまり、ピースという「インプット」を「つなぐ」ことで、全体像という「アウトプット」を生み出します。インプットをI、つなぐをT、アウトプットをOで表すとITOと略記できます。このITOが今回話す型です。

ばらばらのピースをつなげて全体像をつくるITO

 連載第1回で紹介したスモールハピネスを生み出すプロセス(1)のパズル完成までが、ITOです。(2)の「できた!」と(3)のスモールハピネスと認定は慣れの問題ですから、勝負どころはITOです。

スモール・ハピネス・メソッド

 ITOを用いて、スモールハピネスの事例を読み解く前に、ウオーミングアップとして、ITOという型が、人々のさまざまな営みで成立することをいくつか例でみておきます。

 ・「1+3=4」は「数える」というITOです。 「1」と「3」がインプット(I)、「+」がつなぐ(T)、「4」がアウトプット(O)です。

 ・「私は夢をみた」は「作文」というITOです。「私」「は」「夢」「を」「みた」といった「単語」がインプット(I)、文法にそって「単語を連ねる」ことがつなぐ(T)、「出来上がった文」がアウトプット(O)です。

 ・金融資産の現在価値を求める計算は「金融・財務」のITOです。例えば、金利年1%で1年後に101万円となる金融資産の現在価値は100万円ですが、この場合、「1年で1%の金利」と「1年後の価値101万円」がインプット、現在価値の「計算(101÷1.01)」がつなぐ(T)、「現在価値100万円」がアウトプット(O)です。

 これからITOを用いて、これまで紹介してきたスモールハピネスの事例を読み解いてみます。

 第2回の事例1では、私自身について、ビギナーのコンサルタントの時の方がベテランになってからよりもハピネスを味わっていたことを述べました。ビギナーのときはインプット重視ですが、ベテランになるとアウトプット重視になり、この変化に伴い人の話を聞くことより、自分が答えを速く出す傾向が強まるなどと述べました。

 これをITOで読み解くと、ビギナーの時の方が、まだ慣れていないために都度の諸インプットが新鮮で、それらをなんとかつなげようとします。ビギナーですからうまくつながらないことも多いのですが、部分的であればつながることはそれなりにあるでしょう。つまり部分的にはITOは成立します。そういうときにしっかりつながったITOを味わえばハピネスを感じることができます。

 他方、ベテランになると、つなげること自体はうまくなりますが、つながることは当たり前になってしまい、ハピネスを味わう機会を見逃します。ベテランは初心者よりも、たくさんのITOを生み出しているはずですが、途中のITOは全てスルーされてしまい、結局、ベテランがハピネスを味わうのは、大成功をおさめたときなどに限定されてしまいます。

 ビギナーは、赤ちゃんのようにはいはいするときの一挙手一足投足でITOの充実感を覚え、寝返りが打てるだけのITOで達成感を味わいます。よちよち歩きを始めれば一歩ずつのITOをかみしめます。ITOは、初心の充実感をベテランになっても失わないためのリマインダーです。

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