米国や中国など各国が人工知能(AI)の開発を急ぐ中、日本は周回遅れとされてきた。巻き返しの鍵を握りそうなのがAIを活用してロボットなどを自律的に制御する「フィジカルAI」だ。
米国や中国など各国が人工知能(AI)の開発を急ぐ中、日本は周回遅れとされてきた。巻き返しの鍵を握りそうなのがAIを活用してロボットなどを自律的に制御する「フィジカルAI」だ。日本が得意とするものづくりで培った信頼性や技術が重要になる。国内外のIT企業が関連する日系メーカーに秋波を送っているほか、高市早苗政権が1兆円規模の投資を打ち出したAI分野の中でも特に注力する技術と位置付けている。
産業用ロボットで世界4強の一角を占めるファナックは今月1日、米半導体大手エヌビディアとの協業を発表した。同じく4強の安川電機も同日、ソフトバンクとの提携を発表した。
フィジカルAIが期待されているのは、AIでロボットが最適な状況判断をできるようになれば、人と一緒に作業することなども可能になり、生産性の向上や人手不足の解決などが見込めるからだ。従来のロボットは特定の動きを繰り返すものが中心で、人が入らない工場の生産ラインなどに限定されていた。AIによって、人の不規則な動きにも安全に対応できるようになれば、オフィスでの書類整理や商店での接客などにも活躍の場は広がる。
その際、強みになるのが、日本メーカーのものづくりと直結したロボット技術だ。
12月上旬に開催された世界最大級の産業用ロボット見本市「2025国際ロボット展」では国内外の企業がフィジカルAI技術をアピール。日本勢は自動車などの製造業で培ってきたロボットアームや運搬ロボットなどの展示が目立った。
楽天証券経済研究所の土信田雅之シニアマーケットアナリストは「現場ですぐ壊れてしまうと意味がない。日本企業は実績と信頼性がある」と指摘する。耐久性や正確性が求められ、画像センサーなどの電子部品のほか、ロボットの駆動装置や関節部品などで強みを持つ日本企業に商機が訪れるという。
人型ロボットでは中国などが先行しているとされるが、土信田氏は「人型はインパクトはあるが活用する仕事が見えてこない。実社会で使えない可能性もある」と分析。トランプ米政権の政策も追い風になりそうで、「移民抑制と製造業の米国回帰で、ロボティクスが活性化する。米国工場を持つ日本の部品メーカーは優遇される可能性がある」と予測する。(高木克聡)
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