連載
» 2010年02月23日 08時15分 UPDATE

世界で勝つ 強い日本企業のつくり方:【第1回】内陸部の消費ブーム――中国で戦うための心構え (1/3)

「郷に入れば郷に従え」ということわざが示すように、日本企業が中国市場で成功するためには現地を深く理解していなければならない。新連載では「日本企業が中国で戦うための心構え」をテーマに、中国の専門家である野村総合研究所の此本臣吾執行役員が中国の今を解説する。

[此本臣吾(野村総合研究所),ITmedia]

 中国経済は財政出動が功を奏し見事なV字回復を遂げている。特に、今般の経済危機の影響が軽微だった内陸部では、インフラ整備と都市化の進展、個人所得の向上、住宅や消費財需要の増加、そこに事業機会を求める民間からの投資流入という高度成長のサイクルが定着してきている。

 内陸部では世帯月収で5000元(約6万5000円)、沿岸部では同8000元(約10万4000円)を超えるとマイホーム取得や大型耐久消費財の新規購入が始まってくる。このような消費者を野村総合研究所(NRI)は「ネクストリッチ層」と呼んでいる。2009年で1300万台を超えた今の中国の自動車市場を支えているのは、この巨大化したネクストリッチ層である。内陸部でネクストリッチ層を対象に調査を行ったところ、実に回答者の6割がすでに自動車を保有しており、しかも、それらは2、3年以内で保有したものであると回答している。

 今回は、内陸部の消費者の実情について、NRIが2009年秋に実施した調査に基づいてご紹介したい(参考文献:「知的資産創造」2009年1月号 特集「金融危機後の中国と日本企業の戦略」)。

ネクストリッチ層の現状

 NRIは2004年から中国のネクストリッチ層の消費実態調査を行ってきた。ネクストリッチ層とは、富裕層ではないが、持家あるいは賃貸で自宅用不動産があり、自動車や薄型テレビなどの高額耐久消費財の取得も可能な、生活にゆとりを持つ世帯を意味している。

 最近では中間所得層、あるいは、中間層という表現もよく使われるが、中間層というとネクストリッチ層よりももう少し下の所得層までを含んだ概念と思われる。NRIが意図するのは、あくまで日本企業の商品やサービスのユーザーであり、そうなると中間層の上位に属する集団、富裕層の予備軍であるネクストリッチ層という方がふさわしい。

 NRIが調査を開始した2004年当時、ネクストリッチ層の世帯年収を内陸部では5万元(約65万円)程度、沿岸部では10万元(約130万円)前後と定義していた。内陸部と沿岸部では住宅価や生活必需品物価が異なるために、同じネクストリッチ層といっても年収はかなり異なるものとなるはずである。今回は、自動車ディーラーや家電量販店への大型耐久消費財の一次取得者についての事前インタビュー調査に基づき、ネクストリッチ層の世帯月収を、沿岸部では8000元〜1万5000元、内陸部では5000元〜8000元と定義した。

 つまり、内陸部でのビジネスを考えるとき、その商圏に世帯月収で5000元以上の世帯がどの程度存在しているかでマーケットとしてのポテンシャルを判断することができるわけである。以下では、このネクストリッチ層がどのような消費性向を持っているか見ていきたい。

       1|2|3 次のページへ

Copyright© 2017 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

「ITmedia エグゼクティブ」新規入会キャンペーン実施中!!  旅行券(5万円)をプレゼント!

「ITmedia エグゼクティブ」は上場企業および上場相当企業の課長職以上の方が約5500人参加している無料の会員制サービスです。
 会員の皆さまにご参加いただけるセミナーや勉強会などを通じた会員間の交流から「企業のあるべき姿」「企業の変革をつかさどるリーダーとしての役割」などを多角的に探っていきます。
 新規でご入会いただいた方の中から抽選でお1人さまに、JTB旅行券(5万円)をプレゼントします。初秋の旅で、日頃の疲れをいやしていただければと選びました。どうぞご応募ください。

ピックアップコンテンツ

- PR -
世界基準と日本品質を極める Clients First with Innovation & Japan Quality

アドバイザリーボード

早稲田大学商学学術院教授

根来龍之

早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授

小尾敏夫

株式会社CEAFOM 代表取締役社長

郡山史郎

株式会社プロシード 代表取締役

西野弘

明治学院大学 経済学部准教授

森田正隆