日本が蘇るために必要な「グリーン・オーシャン戦略」という選択ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/3 ページ)

自然の恵みである限られた資源を感謝して使う。そしていかにして次世代に残すかも考えなくてはならない。

» 2011年07月21日 07時00分 公開
[中野博,ITmedia]
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なぜ、いま「グリーン・オーシャン戦略」なのか?

 本書では、社会貢献と環境保全や貧困問題の解決など多くのCSR活動を必須とした新しい経営戦略を「グリーン・オーシャン戦略」と呼んでいます。

 もちろん、チャン・キムとモボルニュの「ブルー・オーシャン戦略」をヒントにしてのネーミングですが、発想は彼らの提唱した「ブルー・オーシャン戦略」の先にある経営戦略を明快にしたものです。

 つまり、「グリーン・オーシャン戦略」とは「地球および自然」と「企業の成長と利益」と「人間の幸せ」のトリレンマをいかに解決するか? そして、「四方よし! 」(売り手、買い手、世間、地球)の経営こそがこれからの経営と説くものです。

 「グリーン・オーシャン戦略」の根底に流れているのは「愛」と「奉仕の精神」であり、「恩送り」の気持ちなのです。

 「恩送り」とは何でしょうか?

 その前に、まず「恩返し」について考えてみましょう。例えば、「鶴の恩返し」は10歳くらいの子どもであれば、誰もが知っています。鶴の恩返しは一般に「恩を受けたら、その恩に報いることをしましょう」という教訓であったり、「何か良いことをすると必ず別の良いことが自分にかえってくるよ」という教訓を交えた話であると教えられています。

 しかし実際は、動物を助ける優しさを持ちながらもたった1つの約束(「決してのぞいてはいけない」という約束)さえ守れない愚かさ、どんどん痩せこけていく娘(鶴)に気がつきながらも殿様に献上する着物を織らせ続けてしまった人間の愚かさ、鈍感さなど複雑な心理テーマを扱っているという説もあります。

 つまり、地球のため、自然のため、動物のためという優しい気持ちはすべての人間にはあるはずですが、自然の恵みである資源には限りがあるので、感謝して使いながらも、先回りして対策を講じる必要がある、これを学び取ることができます。

 もちろん、解釈は人それぞれあると思いますが、「恩返し」とは「恩を受けた相手」へ「返す」ことができるため、活動内容は明確です。例えば、あなたが親兄弟や友人から何か「恩を受け」たら、その友人に「返す」ことが「恩返し」です。

 しかし、あなたが受けた恩を直接返すことができないことも多々あります。例えば、美しい緑まぶしい森。エメラルドグリーンの湖。コバルトブルーな海。スカイブルーで雲1つない晴れた空。ハイキングに行ったときに深呼吸して美味しかった森林でのおいしい空気、そこで見つけた湧水。こうした大自然の恵みをわたしたちは恩恵こそ受けることができますが、返すことはできません。

 しかし、この美しい大自然の恵みを次の代へ美しいまま、おいしいまま残すことはできます。もちろん、努力が必要でしょうし、知恵と工夫がいる場合も多いでしょう。1人の力では無理でも多くの仲間、多くの企業やNPOなどの団体の力で協力し合えば、できないことはないかもしれないのです。こうしたことを本気で行うことこそが、「グリーン・オーシャン戦略」の神髄なのです。もし、あなたがすでに「親」であれば、このことは容易に理解できるでしょう。

 なぜならば、親が子どもを育てる際には、何の見返りも考えていません。無償の愛を子どもにたっぷり注ぎ続けるのですから。まさに、わたしたちが先祖や親たちから受け続けてきた無償の愛を親に「恩返し」の形ではなく、気持ちの上で、「恩返し」する意味で、次の世代へ無償の愛を送ること。それが「恩送り」であり、「グリーン・オーシャン戦略」なのです。

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