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» 2012年05月08日 08時00分 UPDATE

アクティビティとコミュニティーがキーワード──超高齢社会 (1/2)

フォーラム「超高齢社会と情報社会の融合」で、「産官学から見た超高齢社会と情報社会の融合」をテーマに、産官学それぞれの立場で活発な議論が展開された。

[大西高弘(ノーバジェット),ITmedia]

 フォーラム「超高齢社会と情報社会の融合」(早稲田大学電子政府・自治体研究所主催、ITmediaエグゼクティブ協賛)でパネル討論が行われた。テーマは「産官学から見た超高齢社会と情報社会の融合」。産官学それぞれの立場で活発な議論が展開された。

グローバルで1000兆円、高齢者市場のインパクト

 討論会に参加したのは、総務省官房審議官(情報流通行政局担当)阪本泰男氏、トヨタ自動車 専務取締役 小平信因氏、NTTデータ 相談役(前社長・一般社団法人 情報サービス産業協会会長)浜口友一氏、国際CIO学会世界会長 早稲田大学教授で、早稲田大学 電子政府・自治体研究所所長の小尾敏夫氏の4人。モデレーターは早稲田大学 IT戦略研究所所長・教授の根来龍之氏だった。

 最初に、総務省官房審議官の阪本氏が、内閣府や総務省の調査から、65歳以上の高齢者のインターネット率、ソーシャルメディアの利用率が年々向上していることを指摘した。インターネット利用率は2008年で30%台だったのが、2010年では60%に迫る勢いで、最新の調査では60代以上の人がソーシャルメディアを利用している割合は20%近くになっているという。また、政府は高齢者を意識したICT関連の施策を打ち出しているが、さらに踏み込んで、世界に先駆けて経験する超高齢社会に対応可能な、総合的なICT関連のプランを早急に作るべきだと語った。

tyou2.jpg 総務省官房審議官の阪本氏(左)、トヨタ自動車の小平氏

 トヨタ自動車専務の小平氏は、現在健常な高齢者の4割が、将来老化の進行によって外出ができなくなることに不安を抱いているという自社の調査結果を報告した。小平氏はこの結果を踏まえ、トヨタでは身体的に衰えが出てきている高齢者ドライバーが、より安全に運転できる移動手段としての自動車の開発に力を注いでいると話す。また、自動車だけではなく、高齢者にも優しいスマートシティに関する実証実験を実施していることも語った。

 NTTデータの浜口氏は、情報技術を利用したビジネスを展開している企業は、自動車やロボット、各種情報機器のインタフェースを、高齢者にも使いやすいものにしていくことをもっと意識すべきだと指摘した。高齢者の心身の健康状態は年齢だけで判断することはできない、個々の状態に合わせてICTをいかに利用できるようにするかは今後の大きな課題となると語った。

 早稲田大学の小尾氏は、グローバルの高齢者向けサービスの市場が1000兆円、そのうちICT関連が10%以上の規模と試算されると話す。国内はそれぞれ10分の1程度になるという。これだけの規模の大きい市場があるなか、世界で最初に超高齢社会に突入する日本は、与えられたアドバンテージを積極的に生かすべきだと小尾氏は語る。しかし、一方で小尾氏は東日本大震災の避難所でのお年寄りの状況などを例に上げ、特に災害時に最大の弱者である高齢者に対して社会の仕組みができていないと指摘する。

アクティブな社会のメインストリーマー

 産官学それぞれの分野で活躍するパネリストの意見を受けて、モデレーターの早稲田大学の根来氏は「超高齢社会の問題はいろいろな立場からの切り口がある」と語る。高齢者自身、企業、高齢者ではない世代、政府、といった立場である。

 超高齢社会のポイントとしてお年寄りのアクティビティをいかに高め、維持していくかが上げられる。NTTデータの浜口氏は次のように話す。

tyou4.jpg NTTデータの浜口氏(左)、国際CIO学会の小尾氏

 「ICTを超高齢社会にどう生かしていくかということを考えると、技術だけでなくビジネスモデルが必要だという話になる。それは間違っていないが、ビジネスモデルというよりも、コミュニティーというキーワード使って考える方が分かりやすいのではないか。高齢者は自由に外出をして、友人や仲間たちと交流し続けていたいと願っている。地元の公民館に出かけるなど、リクリエーション施設に行くのはコミュニティーがあるからだ。ICTは元気で外出できるお年寄りにも、それが難しくなったお年寄りにも、仲間とのコミュニケーションを可能にする。そういう観点でサービスを考えていくといいのではないか」(浜口氏)

 また、浜口氏は日本の企業が世界に向けて高齢者向けサービスを輸出する時代については、最初からグローバル向けに開発したサービス、製品をワンパッケージのものにしなくてはならないと話す。韓国では医療施設の輸出をゼネコン、医療関連企業などが組み、1つのパッケージとして輸出し、政府機関も後押しをしているそうだ。こうした動きをヒントにして複数の業界の企業が連携できる環境を法的にも制度的にも見直した上で進めることが重要だと浜口氏は指摘する。

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