見逃せないのが売上予測とコスト管理だ。以前は請け負った仕事を下請に発注したり、材料を注文するとき、担当者がどんぶり勘定で発注するケースも目立った。
そこで5万円以上の発注は必ず稟議を通すルールを新たに定めて、「Salesforce」のワークフローに乗せることに。各担当者から上がってきた発注書は、受注金額からコスト計算した範囲内で承認を出すため、明らかにおかしい発注ははじくことができる。その結果、ロスが大きく減り、営業利益は約30%アップした。
予実管理の精度が向上すると、資金計画も楽になる。建築の仕事は工事完了の翌月に請求書を出して、先方の支払いは120日の手形で、というケースが少なくない。が、粗利の目処が立っていれば計画的に資金調達などを行うこともできる。
どんぶり勘定の建築会社には銀行も貸し渋る傾向があるが、「Salesforce」に登録された前年度の新規案件や成約数、売り上げや粗利額をデータとして示したところ、銀行から信頼を得て融資が下りたという。
「ベンチャーキャピタルに出資の相談をしたときも、『Salesforce』で作成したレポートを資料として提出したところ、経理の結果ではなく、顧客管理・売上予測・利益予測などが整理されていたので、すんなりと投資してもらえることに。おかげで事業戦略の幅も広がりました」と山田氏も満足げだ。ちなみに同社は07年6月から「Salesforce」をEnterprise Editionにアップグレード。事業ごとにレコードを切り分けて管理し、新規事業への準備を着々と進めている。今後の展開が非常に楽しみだ。「月刊アイティセレクト」10月号の「業務革新 事例大研究」より)
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授