三菱東京UFJ銀行のシステム統合「8合目まで過ぎた」(1/2 ページ)

三菱東京UFJ銀行の巨大システム統合プロジェクトが進んでいる。システム部長の根本氏は「進捗は予定通り。8合目まで過ぎた。運転免許の講習なら路上運転に入ったところ」と説明する。

» 2008年02月26日 10時00分 公開
[堀哲也,ITmedia]

 三菱東京UFJ銀行の巨大システム統合プロジェクトが進んでいる。5月から予定している「Day2」と呼ばれる国内勘定系システムなどの統合に向けて、三菱東京UFJ銀行は2月25日、説明会を開催した。

 旧東京三菱銀行と旧UFJ銀行2行が合併して2006年に誕生した三菱東京UFJ銀行は現在も、旧2行のシステムが併存している状態。今年1月までの「Day1」によって、海外系や市場系のシステムは一本化を終えたが、残る国内勘定系などのシステム統合という総仕上げが残されている。

 両行のシステム統合は、開発規模11万人月、システム投資は計3300億円にも上る巨大なシステム統合プロジェクト。また、社会的にも影響の大きいITプロジェクトとしても注目される。この統合が完了すれば、これまで旧2行で異なっていたサービス・商品を一本化でき、統合によるシナジー効果を本格的に生み出せるようになる。

根本武彦氏 三菱東京UFJ銀行執行役員システム部長の根本武彦氏

 「念には念を入れているが、品質のことだから最後まで分からない」と言うのは、三菱東京UFJ銀行執行役員システム部長の根本武彦氏。総仕上げに向けて、入念なリスク分析と評価、再三のテストを計画通りに進めてきたものの、最後まで気を抜けない心境を話した。

 システム統合プロジェクトにあたっては、経営会議の直下に、外部の有識者も参加した「システム統合委員会」を設置。その下でシステム統合推進部が組織され、業務部門とシステム部門のPMO(Project Management Office)を統括する。ピーク時の要員はパートナーを含め6000人がかかわり、開発拠点は22個所にもわたる。サブシステム数は200以上。

 現在は、最終のテストフェーズにあたる「最終確認テスト」の段階。本番リリースに向けて、全体品質の最終確認を行う。本番システムを用いて全営業店を接続してみる全店リハーサルの1回目を2月10日に終了したばかり。5月までにもう2回実施する予定だ。

 根本氏は「進捗は予定通りに進んでいる。8合目まで過ぎた。運転免許の講習なら路上運転に入ったところ」と説明する。進捗と品質確認状況はサブシステムごとに可視化して管理しており、前テストフェーズにあたる総合テストで洗い出したトラブルは全件対応したという。

 過去に蓄積された経験からコードのボリュームなどに応じて摘出される不良件数は事前に予測できる。「不良摘出の割合は80%から120%が想定される」が、それより少なければ、怪しいと事前に察知できるという。

 「不良摘出件数が少ないものは、本当に品質が良いのかどうかは分からないので、追加テストなどで徹底的に不良を見つけ出した」

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