従来の原価管理システムの限界を補い、資源消費削減とコスト削減の両面で原価管理を行う「マテリアルフローコスト会計」というユニークな手法に関心が高まっている。
従来の原価管理システムの限界を補い、資源消費削減とコスト削減の両面で原価管理を行うMFCA(マテリアルフローコスト会計)というユニークな手法に関心が高まっている。これを基幹システムに組み込み成果をあげる事例が製造業を中心に増えつつあるのだ。その一方で、温室効果ガス削減、自然資本の延命といった環境配慮への効果も大きいとして、これを国際標準の環境マネジメントシステムに組み込むことを目指した日本発の提案が活発化している。
グローバリズムの進展により、温室効果ガスの排出制限や有害廃棄物削減などの環境負荷低減が国際的に義務化される中、企業経営者にはこれまでにも増して環境経営への意識向上が迫られている。従来、環境対策は利益を生まない経営コストとして過小評価されてきたが、CSRにおいて環境保全への取組み姿勢を社内外に示す説明責任はもはや不可避となってきている。
環境経営で重要なのは、継続的な環境保全活動と経済活動の両立にあることは当然だが、環境対策にかけるコストや効果を正確に把握していない企業は多い。そのため、環境負荷低減のために消費したコストやコスト対効果を数値として示した会計情報を環境経営に役立てる環境会計が活用される。
環境会計には、社外のステークホルダーに環境情報を開示して説明責任を履行する外部環境会計と、組織内の環境コスト効果を把握するための内部環境会計(一般には環境管理会計という)が存在するが、製造業を中心に「マテリアルフローコスト会計」(MFCA)を導入し、環境負荷の低減とコストダウンの両立を実現する企業が増え始めている。
MFCAとは、企業における原価計算システムに、マテリアル(原材料)の物量情報を統合して、これまで伝統的な原価管理システムが見過ごしてきた廃棄物の経済的な価値を可視化する環境管理会計のマネジメントツールのこと。
この“マテリアル”には、原材料費などの金額で計る経済的側面と、資源消費などの物量で図る環境的側面の両面の意味を含み、製造プロセスにおけるマテリアルのフローとストックを、金額単位と物量単位とで測定する。
MFCAは、当初ドイツで原型が開発されたが、日本に導入されるとマテリアルを原材料やエネルギー等に細分化し、工程ごとに測定する方法などを取り入れて活用しやすい手法に改良された。廃棄物として出るモノは最初から入れないという生産プロセスのイノベーションにより、3R(Reduce→Reuse→Recycle)の中のReduce(廃棄物の発生抑制)の効果と、生産性向上の両面で活用できると期待されている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上
早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授