データセンターのグリーン化に積極的な施策を進める米国政府では、電力削減の改善活動に必要なツールも準備しつつある。そして、いよいよENERGY STARのサーバ版のスペックが年末に明らかになるという。
米国環境保護庁(EPA)でENERGY STAR プログラムの策定に携わってきたアンドリュー・ファナラ氏は、米国政府によるグリーンIT推進活動に関する講演の中で、今注目されているサーバやデータセンター版でのENERGY STAR適合認定について言及した。
EPAでは現在、3つの分野でデータセンターのグリーン化に取り組んでいる。1つは、全米229カ所、約150万?のデータセンターを調査し、それをENERGY STARのデータセンターメトリックスのベンチマークとして利用すること。2つ目は、ボトムアップアプローチによって、ENERGY STAR for Serversのスペックを公開することだ。また、ネットワーク機器やモニター、UPSなどにも拡張適用するという。また、3つ目は、これらの取り組みを米国の他の官公庁やカナダ政府、EUと情報を共有していくとともに、日本を始めオーストラリア、中国、インドなどを含めたアジア各国の主要排出国と製品のテストプログラムを共有していくという。
また、米国エネルギー省(DOE)もEPAと同様に今後のデータセンターの消費電力の急増をいち早く予想し、実態調査やエネルギー削減の取り組みを行ってきた組織だ。DOEの産業技術プログラム(ITP)では、2011年までに全米のデータセンターの消費電力を10%削減するという達成目標をGreen Gridと合意し、エネルギー削減のためのキャンペーン「Save Energy Now」に着手している。
そのDOEがEPAとともに取り組でんいる全米データセンターエネルギー効率化プログラムのひとつ、「Data Center Energy Profiler(DC Pro)」にも注目が集まっている。データセンターにおけるエネルギー効率化への具体的なアセスメント手法として、潜在的な電力消費量とコストの削減のための指標となるソフトウェアであるDC Proを活用することで、IT 管理者はデータセンターのどの部分でエネルギーを節減できるのかを特定することが可能となるという。すでにβ版が発表されており、データセンターの共通評価指標の作成やベンチマーキングに利用される予定だ。今後、ASHRAE(米国暖房冷凍空調学会)やGreen Gridと協調してトレーニングカリキュラムも企画する計画だという。
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明治学院大学 経済学部准教授