日本ブランド戦略研究所の調査で、ユーザーが評価する企業サイトの1位がサントリーになった。安全・安心を訴求したWebページを掲載するなど、ユーザー視点のサイト作りが奏功し、2位のトヨタ自動車を引き離した。IR情報の充実を図り、決算会見の動画配信などを試みる傾向も出ている。
日本ブランド戦略研究所が11月18日に発表した企業情報サイトのユーザー評価で、サントリーが1位を獲得した。2位は前年度1位だったトヨタ自動車がランクイン。以下、3位がアサヒビール、4位がキリンビール、5位がパナソニックと続いた。
サントリーがトップになった理由として日本ブランド戦略研究所は「今年に『サントリーの安全・安心への取り組み』を作ったことが、(偽装などの不祥事などが続いていた)食品メーカーの社会的な取り組みとして、ユーザーから評価を受けた」と説明。環境情報をはじめ、ほかの評価基準でも高い点数を獲得した。
トヨタ自動車は前年度の1位から2位に後退。「近年、会社概要に加えて、IR(投資家向け広報)のための事業内容の内訳や説明を加える企業が増えているが、トヨタ自動車はその点が不足していたという。2位の要因については、「評価は前年度と同じくらい高かったが、(サントリーの躍進で)相対的な評価が下がったことが影響している」(日本ブランド戦略研究所)。
ユーザーが評価する企業サイトの共通点を聞いたところ、日本ブランド戦略研究所は「環境問題や社会活動、安全・安心といった項目がユーザーの関心を集めている」と指摘。こうした情報はCSR報告書に記載されており、一般ユーザーにはなじみが薄かったが、これをWebコンテンツとして作り直す企業が増える傾向にあるとしている。
同社はインターネットによる企業サイトの調査を10月に実施。対象となる企業情報は会社案内、ニュースリリース、技術・品質、CSR・環境、IR、経営理念の6つ(非上場企業はIRをのぞく5つ)。ユーザーがコンテンツを5段階で評価し、平均を点数として算出した。有効回答数は1万2600人だった。
20位までのランキングは右図の通り。
IR情報の充実も企業サイトの満足度に結びつく。日興アイ・アールが全上場企業3920社を対象に実施している「ホームページ充実度ランキング調査」では、東芝が今年度の総合ランキングで1位を獲得した。同調査は「分かりやすさ」「使いやすさ」「情報の多さ」で企業サイトを評価しており、株主や投資家などが情報を取得するための要素をどれだけ備えているかが判断できる。
日興アイ・アールによると、東芝は各カテゴリーでの評価が高かったという。「調査が終わったあとも文字サイズの変更をするなど、マイナーチェンジを繰り返している」(同社)など、ユーザー視点でのサイト設計も評価を受けた。
同調査では、株式時価総額が大きい企業ほどIR情報の開示状況が高く、ランキングの上位ほど個人投資家に配慮したサイト構成になっていることが分かった。また、決算説明会などの動画配信の掲載率が16.1%(前年度は12.4%)と過去最高を記録した。時価総額が1兆円を超える企業では実に61.6%が動画を配信している。「調査を開始した2003年の動画掲載は7.8%だったが、倍以上になり、2割に迫る勢いだ。近い将来、“動画を掲載していない企業がおかしい”という認識が生まれるかもしれない」(日興アイ・アール)
上位の企業サイトの特徴を聞いたところ、「どこに何があるかといった予想通りにコンテンツを配置しているユーザービリティがある。FLASHをだらだらと流さないことも大きい」(日興アイ・アール)。こうした総合ランキングの上位に名を連ねる企業は、必要な情報をユーザーに的確に伝えるための工夫を凝らしているようだ。
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授