冬は寒さの影響で、心疾患の発症リスクが高まるとされる。中でも心不全は、じわじわ悪化して完治せず、ときには死に至るというやっかいな病。早期発見は難しいとされているが、医療機関で血液検査をすれば、早めに把握することができる。心疾患は日本人の死因で2番目に多く、医療関係者は「人ごとではない。検査で自分のリスクを知って」と呼び掛ける。
冬は寒さの影響で、心疾患の発症リスクが高まるとされる。中でも心不全は、じわじわ悪化して完治せず、ときには死に至るというやっかいな病。早期発見は難しいとされているが、医療機関で血液検査をすれば、早めに把握することができる。心疾患は日本人の死因で2番目に多く、医療関係者は「人ごとではない。検査で自分のリスクを知って」と呼び掛ける。
心不全は、心臓が悪いために息切れやむくみが起こり、だんだん悪化し、生命を縮める病気。日本循環器学会と日本心不全学会が公表する定義だ。
具体的には、「高血圧、心筋症、心筋梗塞、弁膜症、不整脈などのため、心臓の血液を送り出すポンプ機能が悪くなっている状態が心不全です」と奈良県西和医療センター総長の斎藤能彦医師(循環器内科学)は説明を加える。
厚生労働省の人口動態統計(令和6年)によると、日本人の死因で2番目に多い心疾患のうち、心不全が4割を占める。「心不全の入院患者は5年で50%が死亡する」とのデータがあり、予後が良好ではない例も多い。
「一度心不全になったら完治することはない」(斎藤さん)とされているものの、早期発見ができれば、適切な治療により重症化をくい止めることができるという。
よくある初期症状は、息切れと足のむくみ。足首や足の甲を指で押さえると、くぼみができるようなむくみが両足に出現するのが特徴。とはいえ、「日ごろから運動しない人はすぐ息切れするし、飲みすぎや立ちっぱなしで足がむくむこともある。見つけにくい」といい、自覚しづらい。いずれもちょっとした不調なので、大病を疑う人は少ないかもしれない。
心不全の進行は、急性のものを除けば緩やかとされる。4段階に分類され、(1)高血圧、糖尿病、慢性腎臓病などの基礎疾患はあるものの心疾患はない「リスクあり」(2)何らかの心疾患はあるが症状は出ない「前心不全」(3)症状がある「症候性心不全」(4)治療が難しい「治療抵抗性心不全」−がある。このうち「前心不全」や症状がごく軽い「症候性心不全」は、気づきにくく、”隠れ心不全”とも呼ばれる。
早期発見が難しい「前心不全」以上の罹患リスクを簡単に見つけ出す方法がある。NT−proBNP検査だ。血液を採取し、心臓から分泌されて心臓に負担がかかると増加するホルモン「NT−proBNP」の値を調べる。循環器科や内科などで短時間で簡単に行うことができ、よくある血液検査と変わらない。保険が適用され、検査自体の自己負担額は3割負担で400円程度だ。
しかし、検査の認知度は低い。検査薬メーカーのロシュ・ダイアグノスティックスが6年12月、インターネットで30〜60代の男女約2100人に「心臓の検査と聞いて思い浮かぶものは?」(複数回答)と尋ねたところ、心電図関連が81.7%、画像診断が40.2%、超音波検査が38.5%で、血液検査は3%に過ぎなかった。
斎藤さんは、「残念ながら心電図では心不全のリスクを見つけることは難しい。前心不全は、気づいたときには悪化しているということが起きてしまうので、積極的に血液検査を受けてほしい」とすすめる。
一刻も休むことなく動き続ける心臓は、長く働き続けるほどトラブルも増える。思い当たる症状があればもちろん、自覚症状がないとしても、一度は血液検査を受けて自らの心不全リスクを把握しておきたいところだ。(田中万紀)
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