刑事司法の魅力伝える「司法教育支援協会」が設立3年 中高生からは好評も続く試行錯誤

刑事事件の捜査、起訴、裁判などの刑事司法に携わる仕事の魅力を伝え、中高生の進路選択に役立ててもらうための活動を進める一般社団法人「司法教育支援協会」(東京都千代田区)が1月で設立から3年を迎えた。司法試験の受験者数がピーク時から大幅に減少し、若者の関心の低下が懸念される中、将来を担う人材の確保に向け、弁護士を中心とした司法関連の実務者らは仕事のやりがいや醍(だい)醐(ご)味(み)を実感してもらおうと試行錯誤を続けている。

» 2026年02月04日 10時28分 公開
[産経新聞]
産経新聞

 刑事事件の捜査、起訴、裁判などの刑事司法に携わる仕事の魅力を伝え、中高生の進路選択に役立ててもらうための活動を進める一般社団法人「司法教育支援協会」(東京都千代田区)が1月で設立から3年を迎えた。司法試験の受験者数がピーク時から大幅に減少し、若者の関心の低下が懸念される中、将来を担う人材の確保に向け、弁護士を中心とした司法関連の実務者らは仕事のやりがいや醍醐味(だいごみ)を実感してもらおうと試行錯誤を続けている。

photo 元インタビューに答える東京地検特捜部検事で司法教育支援協会の代表理事を務める熊田彰英弁護士=東京都千代田区 (星直人撮影)

強い危機感

 「司法は三権分立のうちの一つ。民主主義を支える人材はなくてはならない」

こう話すのは、協会の代表理事を務める熊田彰英弁護士(56)だ。東京地検特捜部での勤務経験を持つ熊田氏は、在職時から司法を目指す若者の減少を肌で感じ、将来への強い危機感を抱いていたという。3年前、こうした問題意識を共有する弁護士仲間らとともに協会を設立し、活動を本格化させてきた。そんな熊田氏がいま実感しているのが、若者たちからの意外な反響だ。

参加者が法学部進学

 「予想以上に刑事司法への中高生の関心が高いことを実感している」

 これまでに協会が開催したプログラムへの参加人数は延べ1千人弱。プログラムはさまざまで、現役の裁判官を交えた模擬裁判もあれば、警察官、検事、弁護士、裁判官や刑務官、保護観察官のOBや現役が一堂に会するセミナーもある。

 こうしたプログラムにはリピーターとして参加する生徒もいるほどだ。中には司法分野への関心が強まり、大学の法学部に進んだ参加者も。「5年先、10年先を見据えて始めた活動だったが、すぐに司法を目指す生徒が出てきた」と手応えを実感している。

photo 国際法務総合センターで開催された司法教育支援協会のプログラム=令和7年7月、東京都昭島市(星直人撮影)

 好評の理由を熊田氏は、刑事司法にかかわる6分野をワンストップで体験できることにあると分析している。「刑事司法だけでもさまざまな仕事がある。『オール司法』で魅力をアピールして、若者の関心を呼びたい」と話す。

オンライン活用検討

 設立後、協会の活動への理解は着実に広まりつつある。一部のプログラムは法務省との共催で実施しているほか、首都圏に加えて地方都市でのイベント開催も目立ってきた。これまでに札幌市や福岡市でも実施してきた。

 各地で取り組みを進めるのは、東京と地方都市の間にあるとされる情報格差の解消につなげたいという思いからだ。協会が都内で開催しているイベントには遠隔地からの参加者も珍しくない。熊田氏は地方にも人材はいるが、「そこにアプローチできていない」とし、「首都圏以外の需要にも応えていきたい」と意気込む。

 ただ、課題もある。その一つが資金面だ。協会では社会貢献に取り組む企業や個人からの支援を求め、活動に充てる年会費や賛助金を募っている。だが、地方での開催は都内での開催と比べて、交通費や宿泊費もかさむ。本業との兼ね合いで、まとまった時間を確保するのも容易ではない。

 そうした中で、協会ではSNSなどのツールを活用した新たな取り組みを検討している。これまでは対面形式のみだったが、オンライン形式で仕事への理解が深まる動画を配信していくことも選択肢の一つとして浮上している。熊田氏は「各地で情報を求めている中高生は多い。これからもできるだけリアルな司法の世界を伝える機会を増やしていきたい」と話した。(星直人)

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