理想のタスクリーダーはすべてを「決めない」「抱えない」タスクチームのススメ(6)(2/3 ページ)

» 2009年05月08日 08時30分 公開
[永井孝尚,ITmedia]

6-3 リーダーと事務局は裏方である

 タスクメンバーは組織の要職を務め、総じて多忙だ。タスクチームが意味のある成果を生み出すためにも、タスクメンバーに発生する余計な事務作業を省く努力が必要だ。これもリーダーと事務局の仕事である。

 リーダーと事務局は、タスクチームを円滑に運営するために手間を惜しんではいけない。必要になる資料を幅広く集め、客観的に議論する土台を整備する。そして議論の道筋を整理し、骨太なロジックを構築していく。それに加え、会議の設定やタスクのスケジュール管理、議事録のまとめと配布、資料の管理といった事務作業も担当する。

 リーダーと事務局は、タスクチームを支える裏方であるという意識を強く持っていたい。

6-4 リーダーと事務局はすべてを抱え込まない

 複数部門のメンバーが参加するタスクチームの本領は、メンバーの経験や知識、能力を集めて、活用することで発揮される。リーダーと事務局はそれを裏方で支える役目だが、すべての業務を抱え込んでしまうのでは本末転倒だ。

 各メンバーにしかできない仕事は、積極的にメンバーに責任を持ってもらう必要がある。しかし仕事を任せるだけでは、日常業務の優先順位が高くなり、メンバーが担当しているタスクの成果を十分に出せない。状況を報告し合う場を定期的に設け、状況にあわせてサポートする仕組みを構築しておきたい。

6-5 焦点を絞った議論と発散した議論のバランスを取る

 作成しておいた議題を淡々と説明して議論の発散を抑え、メンバーに形ばかりの意見を求める議論は避けたい。アイデアが生まれなくなり、タスクチームの活力も失われてしまうからだ。アイデアを生み出すために議論の発散は必要だが、問題解決という目的からかけ離れた議論をしてしまうこともある。目的に焦点を絞った議論が当然求められる。タスクリーダーは、絶妙なバランスで議論を発散させる「さじ加減」を心得ておく必要がある。

 ここでポイントになるのは時間管理だ。会議の時間が許す範囲で、ある程度の発散した議論を許容する。本題から逸脱したり、時間不足でアウトプットが出そうにない場合は、議論をさりげなく本題に戻す。この際、当初設定したタスクチームの目的をメンバー同士で再確認することが有効だ。

 また会議の冒頭で、その会議で期待するアウトプットを最初に確認しておくと、議論をまとめやすくなる。例えば、議論が発散した際には「会議の予定時刻の半分を過ぎました。おかげさまでとても活発な議論ができました。これからは当初の目的に沿って、アウトプットを作る作業に入ります」と伝えて議論の方向性を変えるようにする。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ITmedia エグゼクティブのご案内

「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上

アドバイザリーボード

根来龍之

早稲田大学商学学術院教授

根来龍之

小尾敏夫

早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授

小尾敏夫

郡山史郎

株式会社CEAFOM 代表取締役社長

郡山史郎

西野弘

株式会社プロシード 代表取締役

西野弘

森田正隆

明治学院大学 経済学部准教授

森田正隆