いよいよ検討テーマに対する課題の洗い出しが始まる。カードBS法と呼ばれる手法を活用し「なぜ、ITが十分に事業に貢献できていないのか」の原因を導き出す。
内山悟志の「IT人材育成物語」 前回までのあらすじ
「前置きはこれくらいにして、早速始めよう。前回検討テーマは決めたが、今日はこれについて問題の洗い出しをやってもらおうと思う。問題を洗い出すにあたり、検討テーマを『なぜ、○○ができていないのか』という形式に置き換えて考えることになる。われわれのテーマは『事業に貢献するIT活用のあり方とは」だったが、これをどう表現すればいいと思う?」
川口の問い掛けに、奥山が「なぜ、ITが十分に事業に貢献できていないのか」と即座に反応した。「いいね。コツがつかめてきたようだね」川口の褒め言葉に奥山が得意げな表情を浮かべた。
「今日は、カードBS法という発散技法を使って問題を洗い出すことにする。カードBS法は、名前の通りカードを使ったブレインストーミングだ。メンバーがそれぞれカードにアイデアを書き出すことで、全員の発想の取り込みを可能にし、後工程の収束の際に整理しやすいように工夫したのがカードBS法だ。ブレインストーミングの場合は、発言の多い人や役職の高い人などの意見が強く反映されがちとなるが、カードBS法では少なくともアイデアを書き出し、発表するということに関しては全員が平等という点がメリットとなる。
では、進め方を説明しよう。全員が5分間でカードにアイデアをいくつか書き出し、その後書いた内容を順番に発表する。基本的にはカードに書き出す個人発想タイムと1人ずつ順番にカードを読み上げる発表タイムの繰り返しとなる。発表の順番が回ってきたときに、手持ちのカードがなくなったらパスする。発表が数周してパスする人が2人以上になった段階で再び個人発想タイムに戻り制限時間まで繰り返す。通常、適切なのは4〜6人だが、今日は僕も入って3人でやることにしよう(図1)」
川口もアイデア出しに入るという言葉に2人は心強い思いがした。
川口は説明を続けた。「カードBS法を行う際には、『担当者への教育を強化し、人事評価制度を整備して、成果報酬を導入する』のように、複数の事柄を書かずに1枚に1つずつ書くこと。また、『業務知識』のようにキーワードを体言止めで書かないことに注意して欲しい。のちに収束技法でまとめる時に、カードを分割したり、言葉を補足したりしなければならないからね」
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授