中国電力は4月19日、2006年度から三井造船と共同で進めてきた天然ガスハイドレートの製造・配送・利用設備開発の実証研究を完了したと発表した。今後は実用化に向けた技術開発に取り組む。
中国電力は4月19日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から受託し、2006年度から三井造船と共同で進めてきた天然ガスハイドレートの製造・配送・利用設備開発の実証研究を完了したと発表した。
ハイドレートは、水分子によって形成されたかご状構造の中に水分子以外の分子が取り込まれた固体物質のこと。かご状構造の中にメタンが入り込んだメタンハイドレートが新エネルギーとして注目されている。天然ガスハイドレートは、大気圧、マイナス約20度の環境下で体積の約170倍(標準状態換算)の天然ガスを包蔵できるという。
同研究は、国内の天然ガスパイプライン未整備地域において、従来の液化天然ガス(LNG)によるローリー輸送では供給が困難だった中小規模の需要家に対する天然ガス供給システムの確立を目的としたもの。天然ガスハイドレート(NGH)は常温付近で製造が可能で、大気圧、マイナス約20度という穏やかな環境下で安定する特性を持つことから、マイナス162度という極低温環境下で製造・配送・貯蔵しなければならないLNGに比べて各種設備を簡略化でき、設備コストを抑えられるというメリットがあるという。
同研究では、LNGを燃料とする同社柳井火力発電所にNGH製造試験装置を設置。製造したNGHペレットをローリーなどで同社および広島ガスの研究所に設置した需要試験設備まで輸送し、そこで再ガス化して利用するNGH陸上輸送チェーンの実証を実施。NGHによる天然ガス輸送の可能性を確認できたことから、今後は実用化に向けた技術開発に取り組むとしている。
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