日本丸再浮上のためにビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)

大胆な方針と強烈なリーダーシップが求められる今、政治の世界に経済界の人材投入が必要。国家運営に会社運営のセンスを。

» 2010年07月29日 08時35分 公開
[樫野孝人,ITmedia]

 この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。


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経済界から政治の世界へ

 参議院選挙が終わり、新たな政局を迎えようとしています。そんな中、最近政治の世界に起こりつつある「流れ」に気が付いてているでしょうか?

 2009年8月の解散総選挙と同時に行われた横浜市長選挙では、元ダイエー会長の林文子さんと元JPモルガン証券会社 取締役副社長 中西 健治さんが戦い、林さんが横浜市長になられました。落選した中西さんもこの参議院選挙でみんなの党から神奈川選挙区で立候補し、見事当選。国政を担うことになります。

『無所属新人―上場企業社長の選挙ものがたり』

 昨年10月末の神戸市長選挙にはわたし、樫野が立候補しました。11月の広島県知事選にはアッカネットワークスの創業者である湯崎 英彦さんが挑戦し、見事当選。現在広島県知事として仕事をされています。そして参議院選挙には元伊勢丹カリスマバイヤーの藤巻幸夫さん、タリーズコーヒー創業者の松田公太さん、楽天 執行役員の小林 司さんなど、ビジネスの世界から政治の世界に転進する人が増えてきたように思います。実はわたし自身が政治の世界で仕事することを目指しているだけでなく、経済界の人材を政治の世界に送り込むことがわたしのミッションだと考えています。リクルートで育ち、「人が最大の資産」を経営理念に掲げ、アイ・エム・ジェイを経営してきたわたしの天命だとも思えるのです。

 かつて、日本の高度成長期を作ってきたわたしの大学の先輩はこう言いました。

 「放っておいて成長する時代だったから、会社では政経分離という不文律があって、なるべく政治には関わらないようにしていた。違うベクトルを目指した方がそのベクトル間の面積が大きくなるからね。それに関わると金を要求されるし。ところが、最近の日本全体の停滞や混迷を見ていると経済界がもっと政治に関わらないといけないと思うようになってきた」と。

 企業経営にも当てはまると思います。市場環境や経営状態が良いときは、できるだけ現場に権限委譲し、遠心力を使って会社を伸ばす戦術は正しいと思います。一方、市場が成熟したり、他の要因で経営危機に陥ったりした時にはトップダウンで全社一丸となって乗り切ることが求められます。いわゆる求心力が必要とされる局面です。

 さて、今の日本はいったいどちらの状況なのでしょうか?

構造改革のためにはまず人材改革を

 わたしは「日本を創り直す」ぐらい大胆な方針と強烈なリーダーシップが必要な時代だと思います。国家運営も都市行政も経営感覚が今まで以上に求められる時代だと思うのです。お父ちゃんの給料が増えない中で、切り詰めた生活を続けていくと心の余裕も無くなり、ついつい愚痴も出ます。ケンカも起きます。「金持ちケンカせず」とはよくいったもので、国家財政も予算を「切り詰めて再分配」するだけでは国民の幸せは訪れないのです。

 これからの日本に必要な政治家は「お父ちゃんの給料を増やす=1人当たりGDPを増やす」人材だとわたしは思うのです。

 現在、日本のGDPは世界第2位で12%のシェアですが、2020年には世界3位で8%、2035年には世界4位で5%、2050年には世界6位で3%になると予測されています。

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