グーグルをはじめとして、道具であるITを仕事に役立てるには、知識とスキルが必要です(ITリテラシー)。ただ、知識とスキルさえあれば、ITで仕事の生産性が上がるわけではありません。ITで生産性を落とす人には、「ITリテラシーが足りない人」以外に、あと2つあるのです。
それは、「生産性に対する意識が低い人」と、「ITそのものが自己目的化している人」です。
「生産性に対する意識が低い人」は、非常に多く存在します。典型例は、
です。パソコンに向かっていれば、仕事しているように見えるので、上司や同僚の大半は何も言いません。このため、優先順位、時間の効率性という意識が以前より後退しているように思うのは、わたしだけではないはずです。いや、仕事をしている分まだマシで「YouTube」を見たり、ニュースをチェックしたり、メールマガジンを読んでいたりと、仕事から脱線する人も相当数います。仕事と直接関係のない情報をチェックすることはもちろん大切なのですが、面白そうな情報であっても、ただ読み流すだけでは、全く仕事には役立たないと断言できます。
こうした部下の生産性を上げるコツは、脱線そのものを否定しないことです。
例えば、グーグルには、「就業時間の20パーセントを仕事とは無関係の各自の研究にあててよい」という有名なルールがありますが、直接の仕事から脱線する割合が問題なのであり「気が付いたら大半の時間を、興味をもったことを調べるのに費やしてしまった」ということにならなければ、部下が近視眼的に仕事をすることをむしろ防げるわけです。
さらに、インプット・アウトプットに意識を向けることが大切です。皆さんのほとんどは、「仕事に直接関係しない「有益そうな情報」に数多く出会ったでしょうが、そのうちいくつを思い出せますか。読み流しただけの情報は忘れてしまうものですから、コピー&ペーストなどで記録に残す必要があるのです。
仕事から脱線している部下を見つけたとき、脱線自体を叱っても意味がありません。本人は、「直接は役に立たないが、いずれ役に立ちそう」くらいに思っているからです。「使えそうな情報は、残しておけよ」くらいにアドバイスし、月に一回程度、アウトプット
を求めるのが一番です。アウトプットを求められるかもしれないということになれば、情報を記録し、「この情報が、どう仕事に役立つだろう」と意識するようになります。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授