連載
» 2011年03月30日 13時30分 公開

海外ベストセラーに学ぶ、もう1つのビジネス視点:分岐点を迎えた経営教育、MBAを考える (2/4)

[エグゼクティブブックサマリー,ITmedia]

MBAカリキュラム

 大学院のカリキュラムはその大学院にとって教育とは何かを示しています。では、米国の一流MBA課程はどのように比較できるのでしょう?一般的に、どのMBA課程も同じような内容を提供しています。例えば、1999年のある研究によると、研究対象の大学院のほぼ全てが、金融、財務会計、マーケティング管理、マクロ経済、運営管理、組織的行動を必須科目としていました。また、一流経営学大学院の2006年から2007年のカリキュラムに関する調査によると、時には同じテキストブックを使い、同じ論文や実例を使用していたことが分かりました。しかし、教授法は大学院によって異なります。 

 例えば、ある大学院では講義に重点を置き、またある大学院ではケーススタディに力を入れています。プログラム構成もまた、大きく異なります。あるプログラムは非常に集中的で、生徒は決められた通りにプログラムを進んでいきます。その一方で、より選択肢が豊富で専門性に富んだプログラムを提供しているところもあります。また、教育目的においては、ある点は共通して集中しているが、一方では細分化しています。例えば、すべてのMBA課程では生徒に専門家になるよう教えるのと同時に多方面の才能を育むよう教育しています。グローバル化などのテーマにおいては大学院によって異なっている場合があります。

 一言でMBAといってもすべての大学が同じ内容では意味を成しませんし、大学それぞれの特色を生かすことができなくなります。そもそも、学問とは勉強することに意味があるのではなく、そこで学んだことをどのように社会に生かしていくかということが大切なわけですから、MBAの中にもそれぞれの学生が将来、社会に生かしていきたいテーマを選択できるようなカリキュラムがあってしかるべきです。

継続中の議論と現在の問題

 1世紀以上前に大学院での経営学教育が始まって以来、経営学大学院とはどうあるべきか、関係者の間で議論されて来ました。MBA課程の運営者達は2つの文化の間で板挟みになっています。それは、学究的世界とビジネスの世界です。どちらの文化も独自の基本方針、基準、枠組みを持っており、自分達のやり方で経営学を定義づけようとしています。1959年、カーネギー財団とフォード財団は、経営学大学院に高度なカリキュラムに力を入れるよう要求し、議論を具体化しました。この反応として、大学院はより分析を行うコースを提供し、MBA課程を他の学部の課程と並行して行うようになりました。そのため、時が経つにつれ経営学大学院は、経営学の知識に乏しい―あるいは経営学に興味すらない―研究志向の研究員を抱えるようになりました。

 その結果、理論と実際に大きな相違が生まれています。生徒は多くの場合、分析の仕方は学びますが実践する方法は学びません。よって、企業世界は、経営学はより適用性や関連性が高いものである必要があると考えています。MBA課程は概して、8つの中心的なニーズをきちんと満たすことができていません。 その8つのニーズおよび経営学大学院がそのニーズに応えるために取るべき手段は次の通りです。

 確かに、経営学を1つの学問としてとらえ、研究することと、経営を実践するための知識として学ぶこととは基本的には違います。しかし、ここではどちらにしても8つのニーズがあると言及しています。ではそのニーズとは何なのか?1つずつ見ていくことにしましょう。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ITmedia エグゼクティブのご案内

「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上

アドバイザリーボード

早稲田大学商学学術院教授

根来龍之

早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授

小尾敏夫

株式会社CEAFOM 代表取締役社長

郡山史郎

株式会社プロシード 代表取締役

西野弘

明治学院大学 経済学部准教授

森田正隆