2008年の経済危機に対する一流大学院の反応の中で表面化したテーマが他にもあります。一流大学院はすべて、世界的経済、市場、組織の相互関連性、倫理と責任および規制とリスク管理、そして大学の他の学部と協働するコースの設計の必要性により一層焦点を当てた教育を行うようになりました。また、ハーバード大学大学院経営学研究科(HBS)が取った経済破綻に対する反応は、社会的変化に継続的に順応するさらなる一歩であると見ることができます。
教育学上、HBSは、議論を促進し、言語能力を向上させ、積極的な論理的思考を促すケーススタディを中心にコースを設計し、継続的に新しい事例を取り入れています。また、HBSの特徴として、倫理及び社会的責任の教育にも力が入れられています。よって、経済危機に見舞われた時、HBSは完全に再編成を行う必要がありませんでした。それどころか、グローバル化とリスクなどのトピックにより力を入れるようにし、さまざまな構想の1つとして短期間の実地プロジェクトや実地コースを導入しました。
経営の王道を学ぶだけではMBA取得をしたといっても、実際には片手落ちだということです。それに気付いたのが学位を出す大学院だということです。せっかくMBAを取得してもビジネスで全く使い物にならなければその大学院の評判にも跳ね返ってくるということです。社会情勢や経済によって、カリキュラムも少しずつ変化をさせていかねばならないということです。
MBA課程は外部需要と反省に応えて変化する中、再びバランスを取らなければなりません。学問的厳しさや分析を重視した姿勢を捨てること無く、学んだことをよりうまく実践に移せる卒業生を輩出しなければなりません。これにはカリキュラムの再設計が必要です。
また、個別のプログラムは常に専門性を有しているのと同時に、批判的思考および倫理感をよりきちんと教えなければなりません。そして、それと同時に、新しい教授法、特に経験学習を提供するものを試し続けなければなりません。 そうすることで卒業生は自分達が望む変化をもたらす能力をより養うことができるようになります。これらは簡単にできるものではありません。しかし、MBA課程は、より大きなビジネスコミュニティの中で生き残り続けるために、そしてそれがMBA課程の運命であるため、適応しなければならないのです。
ここで言及されているとおり、MBAとは学問であると同時に、実践の場で活用できるべきものでなければなりません。先に書かれた8つのニーズについて確実に答えるべきものでなければならないということです。知識ばかりでなく、本当に経営に生かせるMBA取得を大学院側も教えていくべきなのです。今後のカリキュラムの進化に期待したいところです。
この本の詳細
スリカントM・ダタールは、ハーバード大学大学院経営学研究科の会計学のアーサー・ローズ・ディキンソン教授です。ディビッドA・ガービンは、経営管理学のC・ローランド・クリステンセン教授です。パトリックG・カレンは研究員です。
経営コンサルタント(ビジネスモデルコンサルタント・セールスコピーライター)。経営コンサルタントとして、上場企業から個人プロフェッショナルまで、420社以上(1400案件以上)の企業経営を支援。特に集客モデルの構築とビジネスモデルプロデュースを得意とする。またセールスコピーライターという肩書も持ち、そのライティングスキルを生かしたマーケティング施策は、多くの企業を「高収益企業」へと変貌させてきた。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授