うつ病は深い精神的苦痛であり、人の健康をむしばみ、活力をそぎ、食事や睡眠をとる力を奪ってしまう。しかしあきらめてはいけない。少しづつでも行動を変えるなど改善方法はあるという。
この記事は、洋書配信サービス「エグゼクティブブックサマリー」から記事提供を受け、抜粋を掲載したものです。サービスを運営するストラテジィエレメントのコンサルタント、鬼塚俊宏氏が中心となり、独自の視点で解説します。
この要約書から学べること
うつ病とは単に気分が悪い事とは異なります。誰でも、時によっては気分が悪くなることはあります。しかし、本当の臨床的うつ病は、気分の悪い状態が常に、そして長期間続いた時に起こります。このレベルのうつ病になると、考え方、自分自身や生活のあらゆる物事に対する感じ方が影響を受けます。そして、最も深刻な症状は、自分は二度と回復しないのではないかと思い込んでしまうことです。
ベイツ医師は、薬物治療と心理療法を使用して回復を図る総体的アプローチを推奨しています。また、自分のネガティブな思考パターンを認識しそれに対応することや、ストレスを減らすこと、そして日記を書いたり、小さな目標を立てて取り組んだりすることなど、シンプルな対処法を紹介しています。
現代人であれば、だれもが発症する可能性のある心の病「うつ病」。気分が落ち込み、生きるエネルギーが失われて、身体のあちこちに不調をきたす病気です。
恐ろしいことに、日本人の約20%が、うつ病を経験するといわれていますが、そのうち治療を受けている人は、ほんのわずかであるという調査結果が出ています。
「うつ病」の原因はストレスにあるとされていますが、現代において誰でもがそれなりにストレスを抱えていることは間違いありません。しかし、なぜ発症する人とそうでない人がいるのでしょうか? うつ病についての見解がかなり広まってきたとはいっても、症状の軽いうちは周りからは普通に見えるために、単なる怠けだとか甘えだと誤解さるケースも少なくありません。また、本人が「うつ病」と気付いていない場合もあるといいます。
本著は現代人にとって大変に身近な心の病「うつ病」について、かなり深く掘り下げ、その概念から原因、治療法に至るまで詳細に解説しています。他人事では済まされません。この病気、いつか、あなたも向き合うことになるかもしれません。是非、自らを客観的に診察する意味も含めてお勧めできる1冊です。
人はよく、気分が落ち込んでいると訴えることがあります。また、人は誰しも時々、憂うつな気持ちになります。特に、職を失ったり可愛がっていたペットを失くしたりするなど、ストレスがかかる経験をすると気を落としてしまいます。しかし、人は通常、悲しみの期間を経た後、家族や友人の支えによって立ち直ります。愛する人を失くしたことに深く悲しむことは、確かに胸が張り裂けそうになりますが、臨床的うつ病とは異なるものです。臨床的うつ病には次のような特徴があります。
臨床的うつ病の特徴
・悲しい気分が和らがない
・気力や活力が感じられない
・集中力や記憶力が上手く働かない
・以前は楽しめていた活動への興味が失われた
・よく眠れず、食欲に変化がある
うつ病は、単なる気持ちの落ち込みとは異なります。通常は気持ちが落ち込んでも、楽しい活動に参加したり、周りの人からの支えがあったりすれば人は立ち直る事ができます。しかし、うつ病にかかった人は孤独を感じ、友人や家族から離れてしまうことがよくあります。また、自己嫌悪を覚え、自分の人生は二度と良くならないと信じ込んでしまうのです。
誰でも、気分が落ち込む事はあります。ただ、その原因がはっきりしており、それを改善できる何かが明確になっていれば、それはうつ病ではありません。逆に原因不明のまま、改善する気力をも失ってしまった時、それはうつ病を発症した可能性があるのかもしれません。
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授