いくつかの事例組織は、新しいパートナーとシームレスに統合する必要があったため、クラウドにおけるSaaSソリューションを既に活用している。さらに、こうした企業は、SOA 対応のモバイル・アプリケーションによって他社の外部向けアプリや自社のオンプレミス・アプリケーションと容易にインタフェースを取れるサービス・プロバイダーを選んでいる。
企業がモバイル顧客への万全な態勢を整えることが非常に重要なのは明らかである。開かれたSOA (図2上部を参照)によって、エンタプライズ・アプリケーションは関連する外部のサービスと通信できるようになる。企業はまた、エンタプライズ・アプリケーションの大半を新しいオープン・アーキテクチャに適応させるか、新たに開発しなければならなくなる。(図2下部を参照)
テクノロジ分野の人材、特に「真のITアーキテクト」はずっと以前から、IT部門がSOAを通してアプリケーションをどう提供すべきかを知っていた。しかしほんの数年前まで、エンドユーザーの目から見てアプリケーションの機能をほとんど変えないアーキテクチャや、違いをまったく生まない新しいアーキテクチャを正当化するのは難しいと大半の企業は考えていた。
そのため、企業と開発者は「古い」アーキテクチャを使い、すでに整備されたツールとプラットフォームを備えた一枚岩のシステムを構築してきた。SOAの誕生は10年以上に遡るが、大半の企業は、外部の世界と頻繁にやりとりする切迫したニーズを感じていなかった。今では、さまざまなものが企業とアジャイル・モードで通信することを要求している。例えば、SaaSなどの外部サービスやソーシャル・メディアからの外部データ、そしてデジタル化による潜在的な売り上げの源泉や新しいデジタル主体(モノのインターネットなど)がある。
今日の市場のスピードも、ビジネス・サービスの柔軟性を十分に高めデジタル・ビジネス・モーメントという潜在的な売り上げ機会を開拓することを求めている。さまざまなベンダーにロックインされ、複雑で密に結合している、古く脆弱なアーキテクチャを使い続けている余裕はない。ここに、SOA が改めて求められている最大の理由がある。企業に明らかなアドバンテージをもたらすSOA は、デジタル・ビジネス時代に不可欠となった。
ガートナーはデジタル・ビジネスを「人、ビジネス、モノを融合する新しいビジネス・デザインを通して、デジタルの世界と物理的な世界の境界を曖昧にすること」と定義している。すべての企業は、「モノ」という新しい主体の影響を受けることになる。このモノを使えば、企業はE ビジネスを「D ビジネス」、つまり、真のデジタル・ビジネスへと転換できる。モノとの間で通信、トランザクション処理、ネゴシエーションをすることができない企業は、新しいデジタル経済で生き残れない。
ガートナーの予測によると、2020年までに約300億のモノが存在するようになる。開かれたSOAは、企業がモノとやりとりするための前提条件であるため、CIOがデジタル・ビジネスの担い手であると認識している組織は、刷新活動の一環として開かれたSOAに取り組んだ。ひとつ注意したいのは、受動的なモノはこれまでも企業のトランザクション処理にほぼ常に関与していたが、今日では、モノが互いに、そして人とネゴシエーションをすることだ。SOAから機会が生まれる今、あらゆるデジタル・ビジネスはこの方向へのシフトが求められている。
SOAは、将来に起こりうるどのようなビジネス・ニーズにも応えるプラットフォームである。APIは誕生してから長年がたっているが、今は当初の目的以上の役割を果たしている。実際、APIはデジタル・ビジネスの要件に十分に応えられる拡張性と堅牢性を備えたより大規模なオープン・アーキテクチャの一部である。テクノロジの一部品である以上にサービス・コンポーネントであるAPIは、ビジネス開発が根本的に変化することを表している。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授