電力が余っているときに購入して蓄電し、足りていないときに売却する仕組みで、電力需給の安定化に貢献できる。
関西電力とオリックスは29日、共同で建設した「紀の川蓄電所」(和歌山県紀の川市)の開所式を行った。電力が余っているときに購入して蓄電し、足りていないときに売却する仕組みで、電力需給の安定化に貢献できる。一般家庭約1.3万世帯の1日分の電力を蓄えることができ、国内最大級の規模になる。再生可能エネルギーの普及には電力需給の調整役となる蓄電施設が重要とされ、各地で建設が進められている。
紀の川蓄電所は関電の紀の川変電所内にあり、敷地面積8千平方メートル、定格容量113メガワット時。火力発電や原発などの系統電力に接続して電力が余っているときに安く電気を購入して蓄電し、足りていないときに高く売却することで利益を得る。売買は人工知能(AI)を活用して最適化する。総投資額は80億円。
国内では太陽光や風力など再エネの導入が進むが、天候などで発電量が大きく左右される課題がある。これまで電力需給の調整役は主に出力を操作できる火力発電が担ってきた。
しかし資源エネルギー庁の試算では、令和4年度に電力供給の42%を占めた液化天然ガス(LNG)と石油による火力発電は12年度に22%にまで減少する見込みで、新たな調整役として蓄電施設が注目されている。
大手企業も相次いで参入に動いており、KDDIは栃木県内の同社のネットワークセンター内に来年中に蓄電施設を設置すると発表。オリックスも紀の川に続き、滋賀県米原市に大規模な施設を設置すると発表しており、全国で拡大していくとみられる。
関電の藤野研一副社長は「紀の川蓄電所での積み重ねを糧に全国で多くの蓄電所をやっていきたい」、オリックスの高橋英丈取締役は「太陽光や風力は必ずしも安定して発電しない。今後も国の補助を活用しながら導入を進めていきたい」と話した。(桑島浩任)
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