マーケティングを学び「アニマルスピリット」を発揮せよ! 『【新】100円のコーラを1000円で売る方法』ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)

「アニマルスピリット」とは、次々と新しいことに楽しみながら挑戦する野心や情熱のこと。これこそが、ビジネスの原動力。マーケティングを学んで能力をアップさせて成果を挙げることで、アニマルスピリットをさらに発揮しよう。

» 2025年04月24日 07時08分 公開
[永井孝尚ITmedia]

 この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。


ビジネス書の著者たちによる連載コーナー「ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術」バックナンバーへ。


『【新】100円のコーラを1000円で売る方法』

 「多くの会社員がマーケティングの初歩すら知らないのは、実にもったいない」と嘆くのは、マーケティングのプロとして累計100万部を超える数多くのベストセラーを手がけてきた永井孝尚さんだ。

 シリーズ60万部の『100円のコーラを1000円で売る方法』続編として、十数年ぶりにゼロから書き起こした最新作『【新】100円のコーラを1000円で売る方法』を出版した永井さんに、話を聞いた。

貧しくなった日本の中で、成長するスタートアップの希望

 日本企業は1980年代まで次々と新たな挑戦をして、世界がうらやむほどの成長をしてきました。しかし1990年代のバブル崩壊後、危機克服のためにコスト削減とリスク回避が最優先になりました。その後は30年にも渡って「コスト削減」に集中し続け、新たな価値創造への挑戦をしてきませんでした。

 その結果、日本はどんどん貧しくなりました。かつて世界1位だった国民所得は、下がり続けて今や先進国で最下位レベルです。貧しい日本を見切って、海外に出稼ぎする若者も増えています。本来、危機を克服した後は、モードを切り替えて、他にはない新たな価値創出に挑戦すべきなのです。

 一方で最近の日本では、うれしいニュースもあります。スタートアップが数多く芽生えて、成長し始めているのです。

 私が主宰する『永井経営塾』でも、スタートアップ起業家を数多く招いて対談しています。彼らから感じるのが、アニマルスピリットの圧倒的な熱量です。「アニマルスピリット」とは、次々と新しいことに楽しみながら挑戦する野心や情熱のことで、これこそが、ビジネスの原動力なのです。

 かつて成長してきた日本企業のビジネスパーソンが発揮してきたのも、現代のスタートアップ起業家が発揮しているのも、このアニマルスピリットなのです。

 そして現代のスタートアップ起業家の共通点は、最新マーケティング理論を貪欲に学んでいること。彼らは例外なく多忙ですが、人生を賭した起業で成功するためにマーケティング理論を学ぶことは、食事や入浴のように、ごく自然な日々の行動です。

 モチベーションと能力は、表裏一体です。マーケティングを学んで能力をアップさせて成果を挙げることで、アニマルスピリットがさらに発揮されるのです。

 しかしながら、日本企業に勤める会社員に目を転じると、まったく異なる風景が見えてきます。ビジネス能力の基礎であるマーケティングの初歩すらも、学んでいないのです。

 この問題を解決するために書き上げたのが、本書『【新】100円のコーラを1000円で売る方法』(以下『【新】100円のコーラ』)です。

 でも「ビジネス能力の基礎であるマーケティングの初歩」とは、具体的に何でしょうか?

マーケティングを学ぼうとしない日本のビジネスパーソン

 例えば、STPや4Pというマーケティングの基本概念があります。

 STPとは「セグメンテーション」「ターゲッティング」「ポジショニング」という3つの頭文字。このSTPが、マーケティング戦略の出発点です。「市場をいかに細かく分け、どのターゲット顧客に、自社商品・サービスをどんなポジショニングで認識してもらうか?」を考えます。

 しかしこのSTPだけでは成果が出ません。成果を出すには、具体的な施策が必要です。そこでSTPで考えた戦略を実現するために、マーケティング施策を「製品戦略(プロダクト)」「価格戦略(プライス)」「販売チャネル戦略(プレイス)」「プロモーション戦略(プロモーション)」に分解して、具体的に組み立てていきます。4Pとはこの4つの頭文字で、「マーケティングミックス」とも呼ばれます。

 世界のビジネスパーソンにとって、STPと4Pは「読み書き算盤」と同じレベルの常識。しっかり考え抜いたSTPと4Pに基づくビジネス戦略は、効果を生み出す可能性が大きく高まるからです。しかし多くの日本企業では、マネジャーだけでなく経営幹部でも、「STP」「4P」という言葉の存在すら知らずに、仕事をしているのが現実です。

 私は外資系企業に長く勤めてきましたが、日本企業の会社員は、世界の中で見ても総じて能力が高いといつも感じていました。ほぼ唯一の弱点が、このマーケティング力です。

 これは見方を変えると「唯一の弱点であるマーケティング力を世界の平均点に引き上げれば、日本企業は強い競争力を獲得できる」ということです。そしてマーケティングの基本は、分かってしまえば「なんだ、そういうことか」というほどシンプル。これは単純に、スキル育成の問題なのです。私たちがマーケティングを学ばないのは、実にもったいないことです。

 そこで本書『【新】100円のコーラ』は、日本全体のマーケティング力を底上げするために、「マーケティング初心者の新たな定番本」として書き上げました。

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