一流のリーダーは、一流の詩人。詩人とは、適切な言葉を選べる人。言葉の使い方で、好かれる人と、そうでない人とに分かれる。
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一流のリーダーは、一流の詩人です。詩人とは、適切な言葉を選べる人です。
ほめる言葉は、なかなか難しいものです。どうほめていいか、分からないからです。特に、服や髪形をほめるのは、男性でも女性でも難しいものです。
ほとんどの人が、「その服、似合いますね」と言ってしまいます。これは、○×△で言うと、×ではなく、△です。
言葉の使い方で、好かれる人と、そうでない人とに分かれます。×の言い方をすると、嫌われます。△は嫌われないだけで、好かれるところまでは行きません。好かれる人は、○の言い方をしています。
×の言い方が悪いことは、みんな分かっています。○の言い方を知らない人は、取りあえず△でお茶を濁します。そこに、あと1歩で好かれる人になるチャンスが残っているのです。
好かれる人は、「その服、好きです」と言います。言われた側にとっては、似合っているかどうかより、好きかどうかの方が大切です。「好き」という言葉が便利なのは、少々似合っていなくても言えるからです。
時には似合っていない場合もあります。似合っているかどうかは根拠が要ります。「好き」には根拠が要りません。話し手が「好き」だと言うのだから、それ以上の根拠は何もありません。
根拠は話し手自身です。「好き」は、全てを救う万能の言葉です。
仕事で出した企画がよくできているかできていないか、面白いか面白くないかには根拠があります。「この企画は面白くないけど、僕は好き」とか「イマイチだけど、僕は好き」とか言われたら、それだけで救われます。
例えば、部下に厳し過ぎる主任に対して、上司が「もう少し優しく言ってあげた方がいいよ」と、注意しました。そのあとに「でも、君のその厳しさ、僕は好きだよ」と言うことで、その主任は救われるのです。
リスペクトされるリーダーと、されないリーダーは、会った瞬間に決まります。
あいさつするときに、普通の人は「こんにちは。ごぶさたしています」と言います。リスペクトされるリーダーは、あいさつをしません。「あ、○○さん」と、名前を言うだけです。
正しいあいさつの仕方は、新人社員研修で教わります。マナーの本にも書いてあります。名前を呼ぶのは、それを上回る言い方です。特に、目上の人や1回しか会っていない人に「あ、○○さん」と呼ばれたら、うれしいのです。「あ、○○さん」は、「ごぶさたしています」にも「会いたかったです」にも勝ってしまう印象に残る言葉です。
デザイナーのカール・ラガーフェルドは、会った人に「オー、ミスター○○」と、名前を呼びます。「Nice to meet you」とか「Nice to meet you again」とかは、一切ありません。それだけで「あのカール・ラガーフェルドが覚えていてくれた」と、感激します。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授