出版不況といわれる中で、ヒット作を続々輩出しているアスコム。どうしたら多くの人に読んでもらえるか、考えて、考えてたどり着いたのは……。
ITmedia エグゼクティブ勉強会に、アスコム 取締役 編集局長の柿内尚文氏が登場。「“編集思考”で課題解決!」をテーマに講演した。現在、出版業界は、非常に厳しい状況にある。ピークの1996年、売上は2兆6000億円だったが、現在は半分程度に減っている。欲しい本は、ECサイトで購入できるが、近所の書店がなくなるなど、リアルな書店で本を買うことは難しくなっている。そのため「出版不況」とか、「活字離れ」とかいわれているが、実は活字離れはそれほどではない。
柿内氏は、「コンテンツを紙媒体で読む機会は減っているものの、WebメディアのPVはますます増えている。活字離れではなく、コンテンツが紙からWebに移っているだけだ。また、図書館のサービスも年々充実していて、図書館で借りる人も多い。つまり活字離れが起きているわけではなく、本を買って読むことが減ってきている」と話す。
こうした状況下でアスコムでは、健康やダイエット、レシピ、ビジネスなどの「実用書」と呼ばれるジャンルの本を出版している。また、企業の商品やサービスのプロモーション、新規事業の立案の支援、見てもらえるWebサイトの作成、企業出版物の刊行、販促物の制作など、企業の課題解決を支援する事業を展開している。そのためのベースとなっている考え方が「編集思考」である。
「編集思考は、出版だけでなく、多くの仕事に生かすことができる思考法。新しい事業やサービスの開発にも、営業にも、人事にも、接客にも。いろいろなシーンで役立つ考え方である」(柿内氏)。
「例えば、『病院で長時間待たされる問題』。大きな病院に行くと、診察から会計まで、待ち時間だけで数時間かかってしまう。先日自分も同じ病院に3回通い、のべ10時間以上待たされた。現在は、待ち時間などをネットで表示している病院もあるが、まだまだ待合室で過ごさなければならない病院も多い。観察してみると、多くの人は、何もせずにただ待っているだけだった。そこで、編集思考で待ち時間に価値を生み出せないかを考えてみた。例えば、出版社と協力して、健康に関する書籍を集めた病院図書館を作れば健康のための啓蒙活動ができる。またスポーツクラブと協力して、出張ストレッチ教室を開催することで健康促進ができる。患者さん、病院、出版社、スポーツクラブの全てにメリットがある」(柿内氏)
編集思考とは、(1)新しい価値を生み出す、(2)その価値を届ける、そのための考え方とメソッドである。編集思考には8つのポイントがある。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授