令和の時代だからこそ振り返りたい部下育成5つの心得部下から信頼されるエグゼクティブとは(1/2 ページ)

時代が変われども、変わらない上司として、リーダーとしての部下育成心得とは?

» 2019年08月19日 07時06分 公開
[朝倉千恵子ITmedia]

 部下から信頼されるエグゼクティブとは――

 そんなテーマで届けてきたこの連載も、今回が最終回となります。昭和から平成、そして令和へと移り変わる中で上司と部下の関係も大きく変わりました。そしてこれからもきっと変わっていくでしょう。この連載の最後に、時代が変われども、変わらない上司として、リーダーとしての部下育成5つの心得をお届けします。

心得その1:「部下の一面だけをみて判断してはならない」

 上司から指示を受けたとき、「はい!かしこまりました!」と爽やかな気持ちのいい返事をする部下と、ふてくされた顔で「はあ、分かりました」とぶっきらぼうな返事しかできない部下がいたとします。一般的に、上司への対応としてふさわしいのはもちろん前者です。ついつい前者のような部下を可愛がってしまいたくなるものです。しかしこれだけで、前者が素直でいい部下で、後者が不真面目な部下だということはできません。

 返事だけは立派で、行動が伴わない部下もいます。自分の非を認めつつもいっこうに直らないのです。反対に、すぐにカチンときた感情を表に出してしまったとしても、後から反省し、自らの非を改めようと努力し確実に変わっていく部下もいます。

 私たちはいつも、目に見える情報だけで物事を判断しがちです。初対面の人と会ったときにはその人のパッと見た目の印象で「こんな感じの人だろうな」と推測したりもします。“人は見た目で判断する”ということは知っておかなければなりませんが、自らが評価をする立場にあるときには、見た目や好き嫌いで人を判断しないよう気を付けなければなりません。

心得その2:「リーダーは引くを覚えるべし」

 役職がつく、リーダーになる、部下を持つ。多くの場合はプレイヤー時代の実績が認められた結果です。つまり、プレイヤー時代に一段と光り輝いていたからこそ、リーダーになることができるといえます。しかし、リーダーとなったら、今度は一転して、主役の座から降りるべきだと私は考えています。光があれば影ができる。上司にスポットライトが当たっている以上、どんなに優秀な部下でもいつまでたっても脇役のままです。

 これは私自身が経験したことでもあります。起業して間もないころ、こんなことを言われました。「朝倉さんがいなくなったら、この会社は終わりなんじゃないの?お宅の社員は無能…あなた以外はダメなんじゃないの?」

 当時は全ての研修依頼を1人でこなしており、ほぼ毎日、研修や講演のために、全国を飛び回っていました。私が倒れたら終わってしまう、という状況でした。その時はとても腹立たしい思いがしたものの、今、冷静に考えればその手厳しい指摘もうなずけます。

 私にスポットライトが当たっている以上、その影でどれだけ部下が一生懸命仕事をしてくれていたとしても、その部下に日は当たっていなかったのです。

 リーダーに求められるのは、チームを、組織を強化すること。リーダーの仕事は、部下を育て持ち上げることであって、部下を使って自らを引き立てさせることではないのです。

心得その3:「部下の可能性を信じるべし」

 以前にも伝えましたが、部下を育てるためには仕事を与えるしかありません。このとき、誰にでもできるような簡単な仕事を与えても成長にはつながりません。あなたが「これだけは自分でやらないといけない」と思うような仕事こそ、部下に任せてほしいのです。部下は上司が想像している以上に優秀です。信じて任せるのみ、です。

 私は、営業と講師から身を引きました。どちらも「これだけは私がやらなければならない」と思っていた大好きな仕事です。営業を全て部下に引き継いだ翌年には、業績が2倍以上アップしました。講師を引き継いだことで、今や私を超えるスーパー講師も誕生し、受注できる研修の数も以前の比ではありません。私が1人でやっているだけでは、到底到達できなかった領域に今、あるのです。

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